工務店の人材採用

売れる仕組み
2024年02月20日 by 小松 壮幹

目次

こんにちは、ジョンソンパートナーズ小松です。

以前のコラムで「工務店社長の高齢化と後継者問題」に触れましたが、高齢化しているのは社長だけでなくスタッフも同じです。技術職に関しては、たとえ高齢でも健康であれば長く働けますが(きっと私の偏見です、ごめんなさい)、営業系だと高齢化はネックになり得ます。

私自身が営業出身なのでリアルに体験してきたことですが、お客様と年齢が離れれば価値観が合わなくなり、会話も弾まなくなります(つまり売れなくなる)。お客様を自分の息子や娘になぞらえてイメージすることはできても、埋めきれないギャップを感じたりします。

もちろん、いくつになっても活躍を続けているユーミンやキング・カズのようなレジェンド級の方もいらっしゃいますが、一般論として営業職(特に男性)には「逆年齢制限」がありそうです。

ここでも後継者問題?

逆年齢制限の時期になれば、プレイヤーとしては現役引退して管理職に納まるのが理想です。しかし大きくない規模の工務店では「後任」がまず居ないというのが現実です。

そこで"人材募集"となるのですが、本命である「若い人」をすぐに採用できるほど今の日本は豊かではありません。ではどうすれば良いのでしょうか?

理想的な人材募集

営業職に限らず、理想的な人材補充の形は「若手の業界経験者の採用」または「新卒の採用」です。とはいえ大きな会社ならいざ知らず、地域工務店が大金かけて募集活動を行ったとしても理想の人材が応募してくることはまずありません。CMの「ビズ〇―チ!」なんて異世界の話に感じます。

そこでハローワーク等で長期的に募集掲載を続けるというのが現実的な戦略となります。

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ちなみに、自社のホームページに「人材募集ページ」を設けておくことは極めて重要です。「今現在、社員募集を行っている」という事実をお知らせ出来ますし、応募する側はあらかじめ会社や商品のことを知って応募するので、それだけ理想に近い人を採用できる確率が上がります。

実際にハローワーク経由よりもホームページで応募してこられた人の方が戦力になっています。

失敗例① 中堅経験者の採用

手っ取り早い「補強策」は、業界経験のある中堅(40代)男性の採用です。ハローワークで応募してくれるのはこの世代の男性が多く、他に選択肢がないのでやむを得ません。

しかし長年に亘って私自身が見てきた事例で、この「中年業界経験者(表現が悪くてごめんなさい)」の採用成功例はほぼゼロです。建築に関する知識はあっても「自分のやり方」「過去の成功体験」に固執して結局成果を出さないか、会社の潤滑油にはなっても「働かないおじさん化」するかのどちらかです(きっと偏見です、陳謝します)。

少なくとも「経験者」にこだわるのはやめた方がよさそうです。

失敗例② トップセールスマンのヘッドハンティング

経営者仲間のツテなどで、転職を考えている近隣工務店のトップセールスマンの情報が入ってくることがあります。一気に業績を向上させたいという思いと、募集広告にお金をかけるくらいなら、という思いで大金を積んでトップセールスを招き入れる事例も数多く見てきました(FCに加盟している工務店などでよく見られる事例です)。

加入当初はすぐに成果を出すのですが、いつの間にか望まない形で会社を牛耳り始め、社長や既存スタッフが長年苦労して築いてきた伝統や地域とのつながりを壊していきます(その自覚がなかったりします)。そして自身の業績が下降し始めると、よりいい条件で雇用してくれる会社にあっさり移籍していきます。ごくまれに成功事例がないわけでもありませんが、たいていは会社愛や地域愛という感性が薄く、在籍期間は「黒歴史」にしかなりません。

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悲しい話が続いてしまいました。次からは「成功例」をいくつかご紹介します。

成功例① 他業種からの採用

実は、建設業は他の業種と比べれば給与が良いほうだと言えます。2023年の統計では、建設業の平均年収は432万円だそうです。一方で低賃金のイメージのある介護関係は362万、飲食関係で345万、アパレル関係は341万円と、建設業とはかなりの開きがあります。

それら低賃金の業種に勤める若い人が、将来を見越して建設業への転職を希望し入社した事例を多く見てきました。

実は当社ジョンソンホームズも転職組である30歳前後の彼ら、彼女らに大いに助けられ、業績を伸ばした過去があります。業績向上できた主な理由は下記のとおりです。

・お客様と年齢が近い(話が合う、価値観が同じ)

・前職がお客様商売であるため接客がうまい(話題が豊富、楽しい雰囲気)

・定価で家を売る(値引きという概念がない

・会社全体を活気づけてくれる

もちろん彼ら、彼女らの活躍は、社長をはじめ既存スタッフ全員が応援してこそです。またIT技術に関して、総じて建設業より他業種は進んでいるので、その点での戦力UPも見込めます。

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成功例② 自社ユーザーの採用

こちらは①よりも多くの成功事例があります。活躍事例は性別や年齢もバラバラですが、しいて言えば「主婦」が活躍するケースが多いです。その理由は以下のとおりです。

・実際に住んでいるので、言葉に説得力がある

・建てた家や会社が好きになり転職をしている経緯そのものが信頼につながる

・自宅をリアルな「ユーザー物件」として活用できる

・子育てや住宅ローンなどの不安を経験済み(相談しやすい)

主婦が活躍している背景は、当社商品が女性に指示される要素が多く、お客様の奥様(たいていは決定権者)と仲良くなりやすいという要素もあります。

ちなみに転職されるユーザー様は、前職で倒産や解雇という経験をお持ちの方も多いので、どん欲に仕事に取り組む方がほとんどです。

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成功例③ 社員の親族を採用

事業継承という目的で、経営者の親族が入社するのは普通のことですが、社長の親族でもない一般社員の親族(主に子ども)が入社し活躍している事例もあります。昭和世代には考えられないですが、今の若者は親族と同じ職場にいることにそれほど違和感を持ちません

それだけ就職難の時代であるとも言えますが、全く実態のわからない企業で働くよりは、長年親族が勤めている会社の方が安心と考える方も多いようです。子どもが自分と同じ職場で働いてくれるなんて、親目線で見ればこれほど幸せなことはないと思います。

会社にとってのメリットは以下のとおりです。

・人として信用できる(親族と同じ職場を選ぶなんて、そもそもいい子に決まってる?)

・会社の歴史や良いところをあらかじめ知っている

・親も子も頑張る(これが一番!笑)

・突然辞めることはない

この場合、社長をはじめスタッフ全員が「〇〇さんの親族」ではなく、一人の社員として普通に接することが重要です。

ジョンソンパートナーズ加盟店に「父親が設計、娘が営業」という親子がいらっしゃいます。職場では親子という雰囲気を全く感じませんが、お父さんはお嬢さんの活躍をいつも嬉しそうにこっそり話してくれます。「本当にいい親子であり、いい会社だなあ」と感じますし、そういった温かい社風はきっとお客様にも伝わっていると思います。

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採用者の育成

3つの成功例を取り上げました。どのパターンでも採用人材は業界未経験者なので「育成」していく必要があります。しかしこれまでベテラン社員のやり方に依存してきたので、正しい指導方法、育成方法がわからないという問題が出てきます。

じっくり育てる時間もないので、外部の力を使ってでも、彼ら彼女らを早期に育成・戦力化すべきです。そもそも採用に投資をしていないのですから、肝心の「育成」にこそ投資してください。住宅FCならば早期育成のシステムが充実しているので、社員育成に最適だと思います。

まとめ

失敗例① 中堅経験者の採用

失敗例② トップセールスマンのヘッドハンティング

成功例① 他業種からの採用

成功例② 自社ユーザーの採用

成功例③ 社員の親族を採用

失敗例、成功例を数多く見てきて感じることは、地域工務店の人材募集は「経験」よりも「人柄」が大切であるという事です。

設計士や熟練の大工さんなどは、それこそ何十年と経験を積んで一流になるので「建設業=経験値が最重要」とイメージしがちですし、営業の分野においても、一定の建築知識、法律知識、不動産知識など必要知識は多岐にわたるので、やはり経験値は重要です。

しかしそれらの知識は、お客様や既存スタッフと良好な関係を築けてこそ発揮されるものなので、やはり第1は「人柄」です。

一般的な採用方法で「人柄」を見極めるのは困難ですが、成功事例にあげたように、過去「人柄」が求められる業種で活躍していた人、さらにはすでに「人柄」はお墨付きの身近な人などに目を向けると、候補者は意外にもたくさんいたりします。

すでに誰かを想像しながら読み進めていただいたと思いますが、改めてスタッフ全員で候補を探してみると、身近なところにいい人材が見つかるかもしれません

いかがでしたでしょうか。わたしどもジョンソンパートナーズでは、ご紹介した事例の他にも「経営のヒント」を数多く準備しております。また加盟店様の成功事例などもホームページで紹介していますので是非ご覧ください。

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