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こんにちは。ジョンソンホームズ FC事業部です。
営業主体の企業では、高度成長期から2000年の終わりごろまで、従業員に「売上げ」のノルマが課され、「売れない奴は売れるまで帰ってくるな!」とでもいうような空気が漂っているケースが少なくありませんでした。
新入社員が売れるようになるコツを教えられることもなく営業に行かされ、「売れない奴には辞めてもらう。代わりはいくらでもいる」と放り出される、そんな体質です。
昔に比べれば少なくはなったものの、現在でもこうした「成果を従業員任せにする会社」はまだまだ存在しています。
しかし、現代の日本でそんなやり方をしていては肝心の売上げも顧客満足度も社員満足度も上がりません。
こうした状況から脱却するためには、チーム営業(チーム制の営業)が重要なポイントの一つです。
今回は、チーム営業とはなんなのか、そのメリットや成功のコツなどを解説していきます。
チーム営業とは
チーム営業(チーム制の営業)とは、営業担当者がチームを組み、それぞれの知識やスキルを生かして協力しながらお客様対応にあたる営業手法です。
一人ひとりが得意とする分野を持ち寄ることで、個人では対応しきれない多様なニーズにも柔軟に対応できるようになります。
また、経験やスキルにばらつきがある場合でも、チームでフォローし合うことで対応力を底上げし、お客様に提供するサービスの質を均一に保つことが可能です。
かつて、「売れない奴は売れるまで帰ってくるな!」と、売る責任を従業員任せにしても企業が成り立っていたのは、「高度成長期の仕事は単純だったから」です。
当時の商品は、「理解するのも使うのも簡単」でした。
そのため営業では、見込み客の所に足を運び、電話をかけ、頭を下げる、という方法でもある程度は売れることが多かったので、周りに教えられなくても少しずつコツを掴み、売れるようになりました。
しかし、現代ではもはやその売り方が通用しません。
商品も市場も高度になり、複雑化・多様化した結果、闇雲に歩き回っても頭を下げても全く売れない、そんな時代になっています。
従来のように成果を個人単位で追いかけるのではなく、チーム全体で目標を共有し協力して成果を生み出す。
そんな「競争から協働へ」という意識転換が、営業組織には求められているのです。
チーム営業は売れるようにするための仕組みをみんなで作る体制
現代においては、成果を従業員任せにせず「組織的に売れるようにする仕組み」を作って、従業員をサポートすることが重要です。
営業の組織化を重視する会社では、例えば以下のような形で「販売」のプロセスを分解し、それぞれの過程のノウハウをチームで開拓します。
そして、共有し、チームで売上げを上げる、そんな体制をつくっています。
1.集客
取扱商品を買う可能性のある見込み客のリストを、イベント・セミナー開催、展示場出展・Webなど、何らかの方法で調査し集めます。
2.アポ取り
集めたリストに対して、従業員全員で分担して電話をかけてアポ取りをします。
3.ヒアリング・商品説明
アポが取れた先を訪問して、解決すべき課題をヒアリングします。
自社が提供可能な商品・サービスを説明します。
4.提案・クロージング
お客様の課題に対して自社の提供可能な解決策を整理して提案し、契約をまとめます。
以上は単純化した一例で、実際にはそれぞれの現場ごとにさらに細分化したプロセスになりますが、共通するのは「ノウハウを言葉にして従業員全員で共有する」ということです。
例えば「アポ取り」の際は、ちょっとした言葉の選び方で成果がまるで違ってしまうため、「どんなトークをすればアポが取れるのか」がノウハウになります。
そこで数人で同時にアポ取りを始め、各々が得たノウハウを即座に共有し合えば、ほんの1日の間に、全員のアポ取り確率をめざましく向上させることが可能です。
チーム営業のメリット
組織化を重視する企業では、チームで仕事をしてお互いに困ったことは助け合おうとする風土があります。
チーム営業(チーム制の営業)には、次のように多くのメリットがあります。
全員の仕事スキルが向上する
ノウハウを共有するためには、自分の気づいたことを言葉にして人に教えなければなりません。
従業員に営業の責任を負わせる企業では、「営業ノウハウも個人が抱え込んで同僚には教えない」というケースがよくあります。
しかし、「教える」仕事をした人は知っていることでしょうが、「教える」ことによって実は自分自身が一番理解を深めることができるものです。
もちろん、自分が気づかなかったことについて仲間に教えてもらう場合もあります。
結果、全員の仕事スキルが向上します。
仕事への満足度が向上する
チーム営業は仕事への満足度向上にもつながります。
もちろん金銭的な報酬も大事ではありますが、それ以上に「人の役に立てる」こと、「あなたのおかげで助かった。ありがとう」と感謝されることに、多くの人は喜びを感じ満足するものです。
「チームで仕事をする」風土のある企業が社員満足度の高い企業になる理由もそこにあります。
情報の共有による「属人化」を防ぐ
チームで営業活動を行うメリットとして、お客様情報や営業の進捗状況をメンバー全員で共有できることが挙げられます。
これにより、特定の担当者に依存するリスクを減らし、誰がどの案件にどこまで対応しているのかを把握しやすくなります。
メンバーの不在時や異動・退職の際にも、円滑な引き継ぎが可能です。
営業ノウハウを共有するメリットや営業の属人化が起きる原因については、下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
営業ノウハウを共有するメリットは?動画コンテンツ化事例も紹介
営業の属人化が起きる原因は?売れない営業を出さない方法を解説
個々の強みを生かした役割分担ができる
すべての営業プロセスを一人で担う必要がある個人での営業とは異なり、チーム営業では各メンバーの得意分野に応じて業務を分担できます。
例えば、提案資料の作成が得意な人、ヒアリング力の高い人など、それぞれのスキルを生かせる場面で力を発揮できるため、効率的かつ成果につながりやすい体制を築けます。
モチベーションが維持・向上する
同じ目標に向かって協力し合う環境があることで、孤立感がなくなり、気持ちの面でも安定して営業に取り組めます。
困ったときにすぐ相談できる相手がいる、他のメンバーの頑張りに刺激を受けられるといった要素は、継続的なやる気の源にもなるでしょう。
また、ミスや失敗に対しても、チームのサポートがあることで立ち直りが早くなる傾向があります。
問題の早期発見と改善ができる
営業活動をチームで行なっていると、案件の停滞やお客様対応の不備などに他のメンバーが気付きやすくなります。
個人で営業している場合、トラブルが発覚するのが遅れることもありますが、チーム体制なら未然に防ぎやすく、トラブルが発生してもフォローや対策を迅速に行うことが可能です。
小さな悩みが会社全体を改善するヒントに
ちょっとした気づきを言葉にして全員で共有し、改善策を話し合うという行動が習慣になっていれば、当然それは営業に限らず会社のあらゆる部門、業務にも向けられます。
「困ったな?おかしいな?」という些細な悩みや疑問を埋もれさせず、会社を強くする手がかりとするためにも「チームで仕事をする」風土は生きてくるのです。
チーム営業のデメリットや起きやすい問題
チーム営業(チーム制の営業)は多くのメリットが期待できる一方で、運用次第では思わぬ課題やトラブルが発生することもあります。
ここでは、チーム営業のデメリットと起きやすい問題についてお話ししていきます。
判断の自由度が制限される
個人での営業では、自らの判断でスケジュールを調整したり、アプローチを決めたりすることが可能です。
しかし、チーム営業では、チーム全体の方針や他メンバーとの調整が必要になるため、すべてを自分の思い通りに進めることはできません。
その結果、自主性が失われたり、判断力が鈍ったりするリスクがあります。
そのため、チーム営業では全体の方針を尊重しつつも、各メンバーに一定の裁量を持たせ、主体性やモチベーションを維持できる環境づくりをすることが重要です。
情報共有の不足によるトラブルが起きやすい
複数人で同じ顧客に対応するチーム営業では、こまめな情報共有が欠かせません。
共有が不十分だと、同じ内容を何度も伝えてしまったり、対応漏れが起きたりするなど、お客様の不信感につながる恐れも。
チーム営業では、進捗状況、お客様の反応、トラブル事例などを日常的に共有できる仕組みを整えることが大切です。
そうすることで、チーム内の連携ミスを防ぎ、顧客満足度を高めることができます。
考える力が鈍る
常に周囲に相談しながら進める体制に頼りすぎると、自分で考えて行動する力が徐々に弱まってしまうこともあります。
特に「相談」ではなく「指示待ち」になってしまうと、チーム全体の成長も停滞します。
一人ひとりが自分の意見を持ち、それを元にディスカッションできる関係性を築くことが重要です。
考える習慣が根づけば、メンバー各自の成長にもつながります。
他のメンバーのフォローに追われる
チームで動く以上、自分だけの業務に集中できない場面もあります。
誰かが多忙だったり、急に対応できなくなったりした際には、他のメンバーがカバーしなければならず、負担が増すこともあります。
チーム営業では、余裕のあるスケジューリングと、サポートが必要なときに備えたチーム体制の整備が大切です。
無理のない分担によって、フォローし合いながらも、それぞれの業務に集中できる環境をつくることができます。
チーム営業を成功させるコツ
チーム営業(チーム制の営業)を成功へ導くには、いくつかのコツがあります。
営業チームで成果を出すためのポイントを見ていきましょう。
適材適所でチームを構成する
成果を上げる営業チームには、メンバーのスキルや性格を踏まえた配置が欠かせません。
「誰が何に強いか」「どんな組み合わせならうまく機能するか」を見極め、チーム全体のバランスを整えましょう。
営業プロセスごとに求められる力は異なるため、それぞれの得意分野が発揮できる体制づくりが大切です。
加えて、人間関係の相性やコミュニケーション力も考慮すると、よりスムーズな連携が期待できます。
チームとしての意識と役割を共有する
チーム営業では、全員が同じ目標に向かって進む意識を持つことが基本です。
それぞれが自分の役割を理解するだけでなく、「チームとして何を目指しているのか」を共有できていないと、動きがバラバラになりやすくなります。
特にリーダーやマネージャーは、チームの方向性を示し、全体をまとめる役割を果たす必要があります。
情報はこまめに、ため込まずに共有する
営業活動はスピードと正確さが命です。
情報共有が遅れると、ミスや対応の遅れにつながる可能性があります。
些細な情報であっても、リアルタイムで共有する習慣をチーム全体で意識しましょう。
蓄積された情報はノウハウとして活用でき、チームの成長にもつながります。
リーダーとメンバーの協力体制を築く
リーダーが全てを決め、他のメンバーが受け身になるようなチームでは、成長に限界があります。
大切なのは、リーダーが方向性を示し、メンバーがそれを受けて主体的に動くこと。
メンバーからの提案やサポートがあることで、リーダーもより的確な判断ができ、チーム全体の力が高まります。
ツールを活用して連携を強化する
外回りが多い営業チームでは、対面での話し合いの時間を取れず、連携が難しい場面もあります。
そんなときに活躍するのが、ビジネスチャットや営業支援ツール(SFA)などのITツールです。
これらを活用すれば、いつでもどこでも情報共有や進捗管理が可能になり、業務の抜け漏れや行き違いを防げます。
チーム営業はメリット多数!コツをつかんで成功へ導こう
チーム営業(チーム制の営業)は、メンバーの知識やスキルを生かし、協力してお客様対応にあたる営業手法です。
個人での営業では対応が難しい多様なニーズにも柔軟に応えられるほか、ノウハウを共有することで全員のスキル向上や業務の属人化防止にもつながります。
また、仕事の満足度やモチベーションが高まり、問題の早期発見と改善にも効果的です。
一方で、判断の自由度が下がる、情報共有の不足がトラブルを招くなどの課題も。
成功へ導くには、適材適所の配置、こまめな情報共有、明確な役割分担などが重要です。
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