コーポレートブランディングとは?目的や手法を事例とともに紹介

売れる仕組み / ブランディング
2025年05月20日 by 金子 祐介

目次

こんにちは。ジョンソンホームズ金子です。

コーポレートブランディングとは、「企業のブランドをつくること」を言います。
特定のライフスタイルを持った顧客像を想定し、その人々を徹底的にサポートするための価値観を固めることがコーポレートブランディングの柱です。

では、コーポレートブランディングをする上で一番大事なことは何でしょうか?

今回は、コーポレートブランディングとは何か、目的や具体的な手法、事例などについてお話しいたします。

コーポレートブランディングとは

コーポレートブランディングとは、企業としての「らしさ」や存在意義を社内外に伝え、企業全体の信頼と価値を高めていくための活動のこと。

つまり、「企業のブランドをつくること」です。

商品やサービスのブランドづくり(プロダクトブランディング)とは異なり、企業自体の姿勢や理念、社会における役割を軸に、企業そのものを選ばれる存在へと育てていく点が特徴です。

その結果として、提供する製品やサービスへの信頼も高まり、競合との差別化にもつながります。

ブランディングと似た言葉でマーケティングがあります。

これらの違いについては、下記コラムをご覧ください。

経営者も実は知らない?ブランディングとマーケティングの違い

コーポレートブランディングの目的・効果

コーポレートブランディングの主な目的・効果を3つご紹介します。

1.競争力が高まる

企業のブランドが確立していれば、製品やサービスの信頼性も高まり、他社と差別化しやすくなります。

価格だけで選ばれない強みを持つことができます。

2.採用・定着につながる

企業の考え方が伝わることで、共感した人材が集まりやすくなり、ミスマッチも減ります。

働く人の満足度が上がり、定着率の向上にもつながります。

3.信頼される企業になる

投資家や取引先、求職者などからの信頼を得やすくなり、資金調達やビジネス展開がしやすくなります。

結果として、企業の成長を後押しします。

コーポレートブランディングの進め方・注意点

コーポレートブランディングはどのように進めていけば良いのでしょうか。

注意点もあわせてご紹介します。

コーポレートブランディングの進め方

コーポレートブランディングの取り組みを成功へと導くためには、どのようなステップで進めていくかが重要です。

①取り組みのタイミングを見極める

コーポレートブランディングは、企業変革のきっかけとなる重要な取り組みです。

そのスタートにふさわしいのは、周年やM&A、主力事業の転換、経営者交代などの節目。

変化を前向きに受け入れる空気が社内に生まれやすいため、社員の関心も高まりやすくなります。

まずは「なぜ今、ブランディングが必要なのか」を明確にし、経営層と社員の双方にその意義をしっかり共有することが不可欠です。

②推進体制を整える

取り組みの要となるのが、プロジェクトチームの設置です。

ブランディングは全社的な活動の指針となるため、マーケティングなど一部門の専任では不十分です。

部門を横断して、全体を俯瞰できる人材を集め、経営層の支援を受けながら推進しましょう。

小回りの利く少人数からスタートし、実行段階では各部門からキーパーソンを巻き込んで進めるのが現実的です。

③現状を正しく把握する

ブランディングの土台となるのは、「今、自社がどう見られているか」の正確な理解です。

経営者の想いや将来像を確認すると同時に、お客様や社員の声を収集しましょう。

調査方法としては、アンケートやインタビューのほか、「3C分析」「SWOT分析」「PEST分析」などのフレームワークも有効です。

理想と実態のギャップを洗い出し、改善の方向性を見極めます。

④ブランドの核を言語化する

ブランドの中核となる価値(=ブランドアイデンティティ)を明確にし、社内外に一貫して伝わる言葉で表現します。

これは単なるスローガンではなく、自社ならではの特徴や目指す姿を簡潔にまとめたものです。

「ブランドを擬人化する」という手法も有効で、ブランドの性格や振る舞いを明確にイメージできるようになります。

⑤表現ルール(ガイドライン)を整備する

ブランドの一貫性を保つには、誰が発信してもブレないルールづくりが重要です。

ロゴやカラー、言葉遣いなど、ブランドを構成する要素を視覚・言語の両面で整理し、具体例を交えてガイドラインに落とし込みます。

ルールの背景にある「なぜそうするのか」という理由も明示することで、社員の理解と納得を促し、実践への自発性を高められます。

⑥社内外への一貫した発信を行う

いよいよブランドを社内外へ伝えるフェーズに入ります。

社員向けの研修(インナーブランディング)と、お客様や社会に向けた広報・マーケティング施策(アウターブランディング)を連動させて進めましょう。

ポイントは、伝え方の一貫性と共感を呼ぶ表現。

「こうすべき」ではなく、「こうありたい」と感じられるような伝え方が求められます。

⑦定期的に効果を測定・改善する

ブランディングは一度の取り組みで完了するものではありません。

実施後は継続的に評価を行い、必要に応じてガイドラインや発信内容を見直します。

評価軸としては、次のような観点が挙げられます。

  • 社内での理解・共感・実践度
  • 社外におけるブランド認知とイメージの一致度
  • ブランド維持の仕組みや体制の整備状況

これらを定期的にチェックし、改善を積み重ねていくことで、ブランド価値を持続的に高めていくことができます。

ブランディングの考え方については、下記コラムもあわせてご覧ください。

ブランドを保つための仕組み。ブランディングツールを知っておこう

コーポレートブランディングの注意点

企業のブランド戦略を確立するには、まず組織の基本的な価値観や使命を明確に設定することが欠かせません。

これは企業活動の指針となり、すべての情報発信の土台となるため、慎重に検討する必要があります。

加えて、社内の全メンバーがそのブランドの考え方を理解し、自分ごととして行動できる状態をつくることも非常に重要です。

社内での認識が揃わなければ、外部へのメッセージが一貫せず、ブランドの印象が弱まってしまう恐れがあります。

ブランドの認知や信頼は、時間をかけて少しずつ育てていくものです。

短期的な効果にとらわれず、時間をかけて社内外に浸透させていく長期的な視点と計画が必要です。

大切なのは「こんなお客様の役に立ちたい」という顧客像を確立すること

例えばジョンソンホームズのような住宅会社の場合、住宅をつくるお客様の中には、家づくりの細部までこだわりたい方もいれば、入居した後の「暮らし」を楽しみたい方もいます。
「すべてのお客様」に支持されることを望んでいては、結局のところ誰にも支持されず、価格のたたき合いになってしまいます。

「こんなお客様の役に立ちたい」と顧客像を想定して価値観を確立することこそが、コーポレートブランディングの柱です。

ブランドイメージは、時代や顧客の受け取り方によって常に変化するため、継続的に見直し、発信していくことが欠かせません。

また、社外への発信と同じくらい、社内での価値観や目指す方向の共有も重要で、組織全体が一体となってブランドを体現することが、企業イメージの向上につながっていきます。

工務店・住宅会社がブランディングを行う重要性については、下記コラムもあわせてご覧ください。

工務店・住宅会社のブランディングが重要な理由とは?差別化のための施策例も紹介

コーポレートブランディングの具体的な手法

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コーポレートブランディングは、企業の価値や理念を社内外に効果的に伝え、信頼や共感を築くための戦略的な取り組みです。

大きく「インナーブランディング」と「アウターブランディング」の2つに分けられ、両者を連携させて進めることが成功の鍵となります。

具体的な手法をそれぞれご紹介します。

インナーブランディング

インナーブランディングとは、社内向けに実施するブランディング活動のことです。

社員に自社のブランドを十分理解してもらい、愛着を持ってもらうことが主な目的です。

これにより、社員の意識や行動が変わり、組織全体を強化していくことにつながります。

インナーブランディングを進める上で、押さえておきたいポイントをご紹介します。

ブランド理念の共有と理解促進

企業が掲げる理念や目指す姿を社員一人ひとりに理解してもらうことが最初のステップです。

ミッションやバリュー(価値観)の明文化と共有が不可欠で、社内報やクレドカード(企業の行動指針を記したカード)を活用した情報発信が効果的です。

教育・研修プログラムの実施

研修やワークショップを通じて、ブランドストーリーや企業文化を体感できる機会を設けることが大切です。

管理職など影響力の大きい社員から優先的に浸透を図ることで、組織全体に広がりやすくなります。

人事制度・組織体制の整備

社員の働きやすさや企業価値に合致した人事制度や福利厚生、組織体制の見直しは、ブランドの内面的な強化につながります。

これにより、社員のエンゲージメントが高まり、採用力の向上も期待できます。

アウターブランディング

アウターブランディングは、お客様や取引先、求職者など企業の外部に向けて行うブランディング活動です。

より多くのお客様に認知してもらうことや、自社の商品やサービスの良さを伝えていくことを目的にしています。

アウターブランディングを進める上で、押さえておきたいポイントをご紹介します。

ブランドの象徴要素の刷新

社名やロゴ、タグライン、コーポレートデザインの見直しは、企業の方向性や価値観を象徴的に表現する重要な施策です。

これらを通じて、ブランドの新たなイメージを対外的に示します。

視覚・言語表現の統一

製品デザインや公式ウェブサイトのリニューアルを行い、その企業が「外の人」に見せるもの、話すものを全部、同じイメージやトーンで揃えます。

統一された表現は、「この企業は細部にまでこだわり、プロフェッショナルとして一貫した品質やサービスを提供する」という安心感と信頼感を与えます。

広報・広告活動による情報発信

広告、イベント、メディア露出を通じてブランドメッセージを広く届けます。

テレビCMや新聞広告などの有料メディアに加え、オウンドメディアやプレスリリースも活用し、企業の考えや姿勢を積極的に発信します。

採用ブランディングの強化

求職者に対しては、採用サイトやSNSの刷新、採用向け動画の制作などを通じて企業の魅力をわかりやすく伝え、優秀な人材の獲得につなげます。

コーポレートブランディングの事例

実際にコーポレートブランディングを進める際には、他社の事例も参考にしてみましょう。

ここでは、成功している企業のコーポレートブランディング事例を2つご紹介します。

事例①ルイ・ヴィトン

世界的に有名なルイ・ヴィトン。
ルイ・ヴィトンのコーポレートブランディングは世界的に大成功を収めています。
それは、単に伝統的な物づくりをしていたのではなく、顧客のニーズを見据えて革新を続けることで、「私のための商品をつくってくれる」という信頼を獲得したからです。

徹底した顧客ニーズの特定が成功のカギ

ルイ・ヴィトンの出発点は、「旅行用トランクの製造」でした。
同社は創業期に「多くの荷物を持って旅行する中上流階級」を顧客として、「鍵のかかる丈夫で軽いトランク」を商品の基本形にいくつものバリエーションを展開していきます。

19世紀半ば当時は、馬車・鉄道・船と交通機関が多様化を迎えており、それぞれの旅の場面に応じてさまざまな商品を開発。

例えば、屋根のない馬車での移動用には、雨に降られた際に水が垂れ落ちるように丸い蓋を持ち、防水性の高いトランクが求められました。


他方、屋根のある鉄道向けには丸蓋の必要がないため、積み上げやすい平蓋仕様をつくり、長い船旅用には開けるとそのままワードローブ(衣装ダンス)になるトランクを開発したのです。

商品のバリエーションはありながらも「中上流階級の顧客向け」は変えない

多様なバリエーションではありますが、いずれにしても「多くの荷物を持って旅行する中上流階級」向けの商品であることは変わりません。


特定のライフスタイルを持った顧客像を想定し、その顧客に対して徹底的にサポートする、という価値観・ミッションをかかげて事業を遂行することにより、該当する顧客から高い支持が得られ、それがブランドをつくるのです。


同社は販売したすべての顧客を把握しており、顧客が鍵を紛失しても同社に問い合わせればすぐに開けられる体制まで整えていたほどです。

これらの徹底により、ルイ・ヴィトンのトランクは当時の中上流階級で大流行。

あの豪華客船タイタニック号が沈没したときにも、その防水性の高さゆえにトランクにつかまって助かった人がいたという真偽不明の伝説まで生まれました。

事例②アップル

パーソナル・コンピュータ(PC)には、Mac(マック)系とWindows(ウィンドウズ)系の2種類がありますが、Mac系のPCをつくってきたのが、iPhoneでも有名なアップル社。


Macは、アップル創業者スティーブ・ジョブズが「個人の創造性を最大限に引き出すツールとしてのPCをつくりたい」という強い価値観のもと生まれたPCです。

そのためにアップル社がこだわったことのひとつが「高いグラフィックおよびマルチメディア機能と使いやすい仕様」。

もうひとつが「PCそれ自体が美しいマシンであること」です。

前者を追求したためにMacは高価になり、同時に後者を追求したために機能性を犠牲にしたとPC業界ではいわれています。

しかしその結果、高価格にもかかわらずMacは熱烈なファンを持ちました。

デザイン・編集・出版・音楽といったクリエイティブ業界では独占的な地位を築いただけでなく、現在ではエンジニア層からも多くの支持を得ています。

人は価値観の合う商品・サービスに手を伸ばす

「このブランドなら、私の欲しいものをつくってくれる」というブランドへの信頼の土台には、共通する価値観があります。

ルイ・ヴィトンであれば、長い旅をする人を徹底的に支えるという価値観。

Macであれば、個人の創造性を徹底的に引き出すという価値観。

いずれにしても共通するのは、どんなお客様に対して奉仕するのか、という顧客像を想定することです。

顧客像を想定することによってこそ「この作り手は私のために仕事をしてくれる」という信頼が得られ、顧客の率直な「願い」が寄せられるようになります。
その願いに応え続ければ、もはや価格で他社と競う必要はありません。

人は価値観の合う商品・サービスに手を伸ばします。
そして、その作り手は長く支持されるブランドとなります。

コーポレートブランディングの事例も参考に企業ブランドの価値を高めよう

コーポレートブランディングは、企業の理念や社会的役割を軸に「らしさ」を社内外に伝え、信頼と価値を高める活動です。

「どんなお客様の役に立ちたいか」を明確にすることで、自社が大切にしたい価値観を固めていくことができます。

取り組みは経営層と社員が意義を共有し、全社横断のチームで現状分析やブランドの核の言語化、ガイドライン整備を行います。

社内外で一貫した発信を継続し、効果を測定しながら改善することが重要です。

代表例のルイ・ヴィトンは顧客ニーズに徹底的に応え、アップルは創造性を引き出す価値観で支持を得ました。

価値観を共有する顧客と深い信頼関係を築き、長期的に選ばれる存在となるために、「コーポレートブランディング」にぜひ力を入れてみてはいかがでしょうか。

経営のヒントを知りたいという方は、ぜひ一度ジョンソンパートナーズへご相談ください。

ジョンソンパートナーズでは、自社直営店で培ったノウハウを基に、全国のフランチャイズ加盟店様へ営業育成に関するアドバイスも行なっております。

私たちは、住宅フランチャイズサービスを通して全国の工務店様の経営を支援いたします。

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