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こんにちは。ジョンソンホームズ川田です。
自社の営業組織に課題があると感じている企業も多いのではないでしょうか。
しかし、営業組織改革を進めたいものの、何から始めれば良いかわからず、手を付けられないという声を耳にします。
そもそも、強い営業組織とはどのような組織を指すのでしょうか。
今回のコラムでは、営業組織改革についてお話ししていきます。
営業組織改革を進めるプロセスや取り組むべきことなど、住宅を扱う「ジョンソンホームズ」の事例も交えて解説しますので、ぜひご覧ください。
強い営業組織とは
営業組織とは、単に営業担当者が個別に活動するのではなく、チーム全体で売上や利益を最大化しようとする組織のことを指します。
営業活動には、見込み客へのアプローチや商談、契約後のフォローアップなど複数の段階がありますが、営業組織ではチームで協力し合い、役割分担をして進めていきます。
営業組織に求められるのは、売上と利益を生み出し、組織内のメンバー同士の円滑なコミュニケーションを促進すること。
営業成果を向上させるためには、個人の力に頼らず、全員が共通の目標に向かって協力し合うことが不可欠なのです。
企業が市場で競争力を維持し、存在感を示し続けるためには、安定的に資金を獲得できる営業力が不可欠です。
では、強い営業組織とはどのような組織なのでしょうか。
強い営業組織とは、課題を克服し、持続的に高い営業利益を確保できる組織を指します。
強い営業組織では、営業プロセスが明確で、全員がその流れを理解しています。
これにより、営業活動の再現性が高まり、特定の担当者に依存することなく、組織全体で一貫した営業活動を行うことができるのです。
さらに、営業プロセスを可視化することは、各段階の成功要因や改善点を明確にすることにもつながります。
また、強い営業組織は、全員が同じ目標に向かって取り組むための明確な目標設定があるのも特徴です。
営業チーム全員が同じ方向を向いて動くことで、自発的に目標達成に向けて行動できるように。
さらに、目標設定を活用してその効果を定期的に検証する仕組みを導入すれば、人材育成にも役立つでしょう。
営業組織改革が重要な理由
営業組織改革をして強い営業組織をつくることは、安定した売上を確保できたり、営業活動の一貫性を確立できたりするメリットがあります。
近年、新型コロナウイルス感染症の影響や自然災害、戦争などにより、企業はこれまで以上に市場の変化に迅速に対応する能力が求められています。
市場競争が激化する中で勝ち残るためには、強固な営業組織が欠かせません。
さらに、少子高齢化による人手不足や、働き方改革による労働時間短縮の中でも利益を向上することが求められていることも、営業組織改革が重要な理由の一つ。
営業組織全体の基盤を強化することで、長期的な成功を目指す必要があるのです。
営業組織改革を進める基本のプロセスと注意点
営業組織改革を進めるには、計画的なアプローチが必要です。
営業組織の改革をするプロセスと、改革を進める上で注意したいポイントをご紹介します。
営業組織の改革をするプロセスと取り組むべきこと
営業組織改革の具体的なプロセスを見ていきましょう。
①課題を把握する
まずは自社の現状と課題を把握することが最初のステップです。
営業チーム全体で連携して、お客様の声や社内データを基に課題を洗い出し、優先順位の高い課題から対策を進めて解決しましょう。
②目標達成に向けてプロセスを明確にする
目標を達成するためには、どのように進めるべきかの道筋を明確にする必要があります。
全員が同じ目標に向かって効率的に動けるようにするために、組織全体で戦略や具体的なプロセスを共有しましょう。
③進捗状況の管理・フォローアップをする
営業活動が計画通りに進んでいるかを常に把握するため、進捗管理は非常に重要です。
進捗にギャップがあれば、早期に改善策を講じる必要もあります。
進捗はできるだけ可視化して、営業チーム全体で共有することが大切です。
④知識(ナレッジ)を共有する
組織全体の営業力を高めるために、社員間での知識共有は不可欠です。
情報や成功事例を営業マン全員で共有することで、営業力の底上げが期待できるでしょう。
社員が簡単に必要な情報にアクセスできる動画の共有や、定期的に勉強会を開くことも効果的です。
営業組織改革で気を付けるべきこと
営業組織改革にはいくつかの大きな課題があるため、改革を進めるにあたって注意が必要です。
まず、変化への抵抗はよく見られる問題です。
営業マンが新しい方法やプロセスに反対する可能性があります。
そうすると、仕事の効率や士気が下がり、組織のパフォーマンスに悪影響をおよぼすおそれがあります。
この抵抗を減らすためには、改革の目的や利点をしっかり伝えるとともに、営業マンが意見を言える環境をつくることが大切です。
また、新しいスキルを身につけるためのトレーニングや、変化を段階的に進めることで、営業マンが不安を感じずに改革に適応しやすくなるでしょう。
次に、リーダーシップの欠如も問題です。
改革を進めるためには、強いリーダーシップが必要です。
リーダーが方向性を示さないと、チームが迷ってしまい、変化に対して消極的になります。
そして、事実把握を十分に行うことも、営業組織改革を行う上では気をつけなくてはいけません。
みなさんは、自社の営業マンがお客様との商談で、具体的に何をどう伝えているのか、そして、今月の目標を達成するためにどれだけ行動しているのかを把握しているでしょうか。
私は過去に事実把握が不十分だったという出来事がありました。
営業マンが管理アクション(リスト顧客へのアプローチ)を「やってます」と言うからやっているんだと思っていたら、行動量が目標比の4割にも達していない営業マンがごろごろいたのです。
数々の事実を知って、実態を把握できていなかったことを恐ろしく思い、そして猛省しました。
私は、事実把握が不十分なまま、社内の意見に耳を傾けて以下の施策を実施していました。
- 広告費の大量投入
- 契約率順のABチーム制導入
全く効果が無かったわけではないですが、思ったような効果は出ませんでした。
その理由は、実態把握不足にあったのではないかと思います。
このときの施策について、実施内容や効果についてご紹介します。
施策①広告費の大量投入
現場に深く入った2019年12月、私はまず、モデルハウス見学や相談会などのイベント集客数を増やすことで契約数を上げる施策を打ちました。
この施策により、すべてのスタッフが新規で月何件も初回商談ができる集客数になりました。
しかし、広告費を従来の何倍も多く投じたことによる結果です。
もし当時に戻れたら、多額の広告費を投じて集客しようなどという策は取りません。
施策②契約率順のABチーム制導入
営業マンの契約率の高低でA・Bチームに分けて、上位Aチームのメンバー以外は単独で初回接客を行わないという施策を打ちました。
これによって減った集客を契約率でカバーすることができました。
しかし、Aチームのスタッフは商談が集中することで疲弊し、Bチームのスタッフは商談ができなくなったことで、モチベーションの低下などが懸念されました。
これも危機的状況を脱出するための緊急策と割り切って進めていましたが、当時に戻れたら、このA・Bチーム体制も取りません。
集客できても質の低いトークで商談していたり、商談をしたけれども成約に至らなかったお客さまに対してアクションしていなかったり。
トップが実態を把握できていない状態で戦略を立てようとすることこそが、そもそも違うだろうと気づきました。
なぜもっと早く気づかなかったのか、どうしてやってこなかったのか。
振り返ると悔やまれます。
営業組織改革で取り組むべきこと
では、具体的にどのような取り組みを行えば良いのでしょうか。
ジョンソンホームズでは、新築部門全営業マンのアプローチブックを活用した商談のロープレ動画を撮りました。
アプローチブックとは、営業自身の自己紹介、住宅商品の特徴や会社の思いなどをまとめたツールのことです。
このアプローチブックを使った商談のロープレ動画を、最初から最後までフルで撮影しました。
従来だと、先輩の同行や研修という限られた場面でしか、手本となるやり方を見る機会がありませんでした。
また、上司(先輩)による部下(後輩)の指導といえば、自分のやり方や価値観を押し付けたり、説教めいたものになったりして、部下の課題解決にはつながっていなかったように思います。
営業成績上位者のやり方を含めて動画化したことで、それぞれ営業マンは他の人の動画と見比べて自分との違いを知ったり、良いやり方を真似たりできます。
また、上司は部下と一緒に手本となる営業マンの動画を見ながら、具体的なアドバイスができるようになりました。
これまでは上司の抽象的な物言いで、部下にうまく伝わらない指導が行われていたわけですが、今の時代は動画でリアルに見てもらうことで、伝わらない指導問題をサクッと解決できるという気づきがありました。
動画は、自分のタイミングで見て学び、商談に臨むこともできる点でメリットも大きいツールです。
ジョンソンホームズでは、アプローチブックを活用した商談のロープレ動画をはじめ、建てどきについてのトークやSNS活用についてなどのノウハウを共有する動画も多数蓄積しています。
営業ノウハウを共有する重要性については、下記コラムもあわせてご覧ください。
営業ノウハウを共有するメリットは?動画コンテンツ化事例も紹介
営業の属人化が起きる原因は?売れない営業を出さない方法を解説
ジョンソンホームズの営業組織改革の事例
ジョンソンホームズでは、新型コロナウイルス感染症の流行の前から受注不振が続いていました。
私が現場に深く関わるようになった2019年12月に現場で感じたのは、売れている営業マンと売れていない営業マンとでは契約数の差が大きく、また、売れていない営業マンが多すぎる!ということでした。
このことから、ジョンソンホームズでは営業組織の改革に踏み切ったのです。
早急に営業組織の改革を行い、立て直しを図るために以下の3つのポイントに注力しました。
- 初回トークの「型」化
- 行動量の「型」化
- 「型」を守り続ける体制構築
詳しくご紹介します。
初回トークの「型」化
コロナ禍でも優秀な成績を収めたトップ営業マンは、初回接客の際にアプローチブックを活用することでうまくいっていることが分かりました。
そこで、新築部門の営業マン約50人全員のアプローチブックフルトークのロープレ動画を撮影しました。
それまでも営業研修やロープレはやっていたのですが、撮影した全員分の動画を見てみると、話していることをはじめ何もかも見事なまでにばらばらだったのです。
まだ社員数が少なかった以前の会社規模では、人間関係の距離感の近さもあり、上司・先輩の持つ暗黙知が働いていました。
それを良いことに、営業職の人数が増えてもなお、やり方を変えてこなかったのです。
そのため、自分のやり方を持ち、かつ話し上手でコミュニケーションスキルの高い営業マンは売れ、毎年採用している新卒は勘どころの良い人だけが成長し、そうでない多数の人を置き去りにしてしまいました。
その結果、全体の棟数が落ち込んでいったのです。
営業の「型」がないことが、やり方をばらばらにし、売れる人と売れない人をつくってきたということは、大きな気づきでした。
住宅営業のロープレの重要性については、下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
行動量の「型」化
改革前は、営業活動全体にわたって物事が曖昧な状態で、初回接客ではゴール設定も不明確な中、お客さまと商談をしていました。
管理アクション(リスト顧客へのアプローチ)の量の定義や基準は無いも同然。
何をどうしたら良いのか、全員が迷い、悩んでいただろうと思います。
そんなとき、建売ブランドのマネージャーのやり方から、私は行動量の「型」の重要さに気づかされました。
業績絶好調な建売ブランドは、行動量がとてつもなく多いチームでした。
マネージャーは、ジョンソンホームズが建売事業を展開する強みを見出し、アプローチブックを磨き、トークと行動量を徹底させています。
メンバーは何をどれだけやれば成果に直結するかがわかるため、成績の伸び悩みで他ブランドから異動した営業マンも中途入社の営業マンも大活躍していたのです。
「型」を守り続ける体制構築
同じことを繰り返さないために「型」つくりを進め、初回接客における商談の「質」を上げ、行動の「やること・やる量」を明確にして見える化しています。
新卒も中途採用者も誰もが迷わず「これをやりきれば売れる」という状態をつくることができました。
今後はこの「型」を守り続けることが大事だろうと考えます。
あとは営業マン一人ひとりが、やるべきことをやるのみです。
ただ、この部分をそれぞれの気持ちに任せていては、体制を守り続けることは難しいでしょう。
そこで、「毎日1時間、自身の能力向上のための時間を設ける」というルールをつくりました。
それぞれの弱点や足りていない部分を用意したロープレ動画で確認したり、アプローチブックを参考にしてトークを磨き上げたりする時間に当てたのです。
自身の営業力を磨くための時間を強制的に設けることで、「型」を守り続けるための体制を構築することができました。
営業組織改革で強い組織をつくる
営業組織は、個々の営業担当者の活動にとどまらず、チーム全体で売上や利益の最大化を目指す組織のこと。
強い営業組織には、明確な営業プロセス、共通の目標、そしてメンバー間の協力が不可欠です。
競争の激化や市場環境の変化に対応するため、営業組織の改革が求められます。
営業組織改革のプロセスでは、課題の把握、目標設定、進捗管理、ナレッジ共有が重要なステップです。
ジョンソンホームズでは、営業活動の一貫性を確保するため、営業マン全員のトークや行動量を「型」化し、ロープレ動画で成功事例を共有する施策を行いました。
これにより、営業マンが効率的に学び、営業スキルを向上させることができたのです。
営業組織改革を行う方法など、経営のヒントを知りたいという方は、ぜひ一度ジョンソンパートナーズへご相談ください。
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