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こんにちは。ジョンソンホームズ金子です。
さまざまな業界において、商品を販売したあとのアフターサービスは非常に重要です。
携帯電話や保険など、商品の差別化が難しい業種では、アフターサービスに力を入れて独自色を出し、高い評価を受けている企業が少なくありません。
そうは言っても、日々の営業活動などに追われていると、商品販売後のお客様のサポートは、ついつい後回しになってしまいがちです。
しかし、お客様の抱える不安や疑問などを小さな芽のうちに解決し、信頼関係を積み重ねていくことは、お客様だけでなく、自社にとってもプラスの面が大きいものです。
今回は、アフターサービスの重要性についてご紹介します。
戦略のポイントや事例もご紹介しますので、ぜひご覧ください。
アフターサービスとは
アフターサービスとは、商品やサービスの購入後に提供される、お客様向けのサポート活動の総称です。
これは、単に購入後のトラブル対応にとどまらず、利用方法の案内や、長期的に製品を快適に使用するための支援など、多岐にわたります。
多くの企業では、顧客満足度の向上やリピーターの獲得、そしてブランドへの信頼を強化するために、アフターサービスに力を入れています。
家電製品などをイメージされる方も多いと思いますが、当社ジョンソンホームズのような住宅会社でも力を入れている部分の一つです。
アフターサービスの主な内容
アフターサービスには、業種や業態によってさまざまな形がありますが、代表的なものは以下の通りです。
問い合わせ・クレーム対応
商品やサービスに関する疑問や不満を受け付け、迅速に対応することでお客様の不安や不満を解消します。
電話やメール、チャット、SNS、チャットボットなど、複数のチャネルが活用されます。
返品・交換・修理対応
不良品や注文ミスなどに対応する返品・交換、あるいは修理サービスも重要です。
家電製品などでは、保証期間内での無償対応を設けている企業もあります。
住宅会社では、保証期間内での構造部分や防水面でのトラブル、設備の故障など、住んでからの住宅のトラブルに対応するための保証が用意されています。
設置・組み立て・取り付けサポート
家具や家電など、購入後の設置作業が必要な製品については、専門スタッフによる対応が提供されることもあり、購入の安心感につながります。
消耗品・部品の交換や補充
バッテリーやインク、フィルターなどの消耗部品の提供や交換サービスも、製品を長く使ってもらう上で欠かせないサポートの一つです。
住宅会社の場合は、住宅の定期点検やメンテナンスが該当します。
操作方法や使い方の案内
購入後に出てくる使い方の疑問やトラブルに対応するため、マニュアルの提供やオンラインでの操作説明などの支援が行われます。
住宅会社の場合、より暮らしを快適にするための片付け方法やインテリアのコツなどをレクチャーしてくれるようなサービスを展開しているところもあります。
アフターサービスの重要性
近年、アフターサービスは単なるお客様対応にとどまらず、企業の持続的成長や経営戦略に欠かせない重要な要素として注目されています。
アフターサービスの重要性について見ていきましょう。
顧客満足と信頼を生む接点となる
アフターサービスは、購入後のサポートを通じてお客様とのつながりを維持し、信頼感を醸成する重要な役割を果たします。
製品に対する不明点やトラブルが発生した際、迅速で丁寧な対応が行われれば、お客様の不安が軽減され、むしろ企業に対する好感や信頼感が増すこともあります。
こうした体験は、リピート購入やポジティブな口コミにもつながりやすく、安定した顧客基盤の構築につながります。
例えば、私たちジョンソンホームズのような住宅業界の場合、住宅を建てて施主に引き渡すことは、住宅会社にとっては1つの区切りとなります。
しかし、お客様にとっては、入居してから「暮らし」がスタートします。
お客様が本当に満足を得るのは長年住み続けた後であることを思えば、そこからが本当のスタートと言っても過言ではありません。
住宅会社にとって引き渡し後の「アフターサービス」は、通常あまり利益を生まないどころか費用を請求できない場合も多いです。
コストがかかるだけなので、できる限り少ないほうが望ましいと考えられています。
しかし、見方を変えれば、アフターサービスはそれによってお客様に安心感を与えることができ、お客様とのつながりを維持することにも役立つ、メリットの大きい活動といえます。
顧客満足度につながるサービスについては、下記コラムでもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
顧客満足度(CS)を向上させるための接客。期待を超えるサービスの提供
顧客生涯価値(LTV)を向上させる
アフターサービスを通じてお客様の満足度が高まると、その企業の商品やサービスを継続的に利用しようという意識が育ちます。
これは「顧客生涯価値(LTV)」の向上に直結します。
また、お客様ごとの履歴や要望に応じたパーソナライズされた対応を行うことで、一人ひとりに合ったサービス体験を提供でき、お客様との関係がより長く・深いものになります。
他社と差別化する強力な武器になる
現代の市場では、製品の性能や価格だけで競争力を持つことが難しくなってきています。
そこで、企業が注目すべきなのが「サービスの質」での差別化です。
特にアフターサービスの充実度は、消費者の購買判断に大きな影響を与える要素の一つです。
同じような商品が並ぶ中で、購入後も手厚くサポートしてくれる企業のほうが、安心して選ばれやすくなります。
また、アフターサービスの領域は、製品開発ほどにはデジタル化が進んでおらず、創意工夫の余地が残されている分、他社との差別化を図りやすい分野でもあります。
顧客ニーズの発見や商品改善に活用できる
アフターサービスの場は、お客様の不満や要望が直接表れる貴重な情報源です。
クレームや問い合わせ対応を通じて、お客様が本当に求めていることや、現在の製品・サービスへの不満を把握できれば、それを次の改善や新たな企画に生かすことができます。
こうした取り組みは、お客様の期待に応える商品やサービスづくりにつながり、結果として売上の増加にもつながります。
安定した収益と新たなビジネスモデルの構築できる
アフターサービスは単なるコストではなく、収益を生む仕組みとしても機能します。
定期的な点検サービスや、IoTを活用したリモート保守、保証延長などを有料で提供することで、サブスクリプション型の収益モデルを築く企業も増えています。
このように、アフターサービスをうまく活用することで、売り切り型のモデルから脱却し、継続的な利益を生み出す体制を築くことができます。
お客様が抱える不安を払拭できる
例えば住宅業界の場合、多くのお客様にとって、家づくりは一生に一度のこと。
ハウスメーカーや工務店とのやりとりも初めての人がほとんどです。
契約や工期、部材や素材、収納に関することなど、分からないことばかりでしょう。
どの会社の営業担当者も、そんなお客様の不安を解決し、安心して家づくりを任せていただけるように、丁寧なサポートを心掛けていることと思います。
でも、物件を引き渡してしまうと、いったんお客様との関係が途切れてしまうことも、少なくはありません。
お客様にとっては、家に住み始めてから気付くことや疑問がわくこと、「もっとこうすれば良かった」という要望が出てくることが意外と多いものです。
そうした場合のサポート体制が整っている会社は、お客様にとって安心できる存在になることができるでしょう。
アフターサービス戦略成功のポイント
アフターサービスは、単に製品購入後のサポートにとどまらず、企業とお客様の関係を深め、満足度や信頼性を高める重要な要素です。
ここでは、効果的なアフターサービス戦略を構築するためのポイントをご紹介します。
お客様と自社を深く理解する
アフターサービスの質を高めるためには、「誰に」「何を」提供するのかを正しく理解することが大切です。
お客様が購入後に抱える疑問や不安を把握し、それに応じたサポートを提供するには、お客様像やニーズを明確にしておくことが不可欠だからです。
また、お客様対応にあたる社員自身が、自社の商品やサービスについて十分な知識を持っていることも重要です。
中途半端な説明や曖昧な対応は、かえって信頼を損ねてしまう可能性があるため、社員全体で製品知識を共有し、常に学びを深める体制づくりが求められます。
組織全体で対応力を高める仕組みを作る
対応の質に個人差が出やすいアフターサービスにおいては、組織全体でサービスレベルを一定にする工夫も必要です。
ベテラン社員から新入社員まで、保証、修繕範囲に対する認識を統一し、オーナー様に対する回答は同じでないとなりません。
対応した者によって回答が変わるようでは、オーナー様から信頼を損なうきっかけにもなります。
オーナー様は同じ家に住み続けるけれども、自社の担当者が代わるということは少なくありません。
常日頃から社内での認識の共有、各オーナー様への対処履歴をデータとして残しておくことで、どの社員が対処しても均一化した対応が可能となり、オーナー様との信頼関係を継続させることができるでしょう。
そのために、対応マニュアルやFAQを整備しておくことで、まだ経験が浅い社員でも品質を保った対応ができるようになります。
また、問い合わせ内容が複雑な場合でも適切に対応できるよう、技術部門や関連部署とスムーズに連携できる体制を整えておくことが大切。
担当部門ごとの情報やノウハウを共有する仕組みを導入することで、組織全体で対応力を底上げすることが可能になります。
イレギュラーに備えた柔軟なフロー設計を行う
通常の問い合わせだけではなく、想定外のトラブルやクレームといったイレギュラーなケースへの備えも必要です。
こうした場面であたふたしないためには、事前に「誰が」「どのように」対応するのかを明確にした対応フローを策定しておくことが効果的です。
特に、初めていただく内容のクレームなどは、対応に焦ってしまいやすいです。
しかし、アフターサービスから得たお客様からの率直な意見は、「貴重な情報」です。
お客様から寄せられた声を、今後の企画プランに反映したり、ミスやクレームの再発防止につなげたりと、日々の営業活動にも生かすべきです。
お客様との間に信頼関係が生まれれば、別の依頼や知人の紹介といった、末永いお付き合いを考えていただける場合もあるかもしれません。
お客様からのクレームには、自社が成長するヒントがたくさん詰まっているのです。
また、すでにクレーム対応に力を入れているのであれば、積極的にPRをしましょう。
お客様が特定されない範囲内で、お客様の声と問題発生の原因究明、対応方法をあえてホームページに公開することで、アフターサービスを大切にする企業姿勢を打ち出すことが可能になります。
トラブル対応の際は、お客様にとって対応の質が企業評価に直結する場面でもあります。
柔軟で迅速な対応ができる体制を整えることで、むしろお客様の信頼を高めるチャンスにもなり得ます。
顧客体験の価値を高める改善を行う
現代では「購入後の体験」も含めて商品・サービスの評価対象となります。
そのため、アフターサービスを通じてお客様が感じる体験価値を高めることが、企業の差別化戦略の一環となります。
例えば、ジョンソンホームズでは、当社で住宅を建てたオーナー様を対象にしたイベント「オーナー感謝祭」を開催しています。
お客様に「住んだ後もこの会社とお付き合いしていると楽しい」と思ってもらえる時間や体験の提供を目的にしています。
こうした取り組みを一過性に終わらせず、お客様の反応をもとに改善を繰り返していくことで、購入後の顧客体験価値を継続的に向上させることができます。
お客様が問い合わせやすい窓口を作る
顧客満足度を高める上で欠かせないのが、「気軽に相談できる環境づくり」です。
「アフターサポートの重要性は理解しているけれど、何から始めたら良いのか分からない」という場合、まずは、専用窓口を設けるところから始めると良いでしょう。
専任の部署や担当者が、じっくりとお客様からのお話を伺うことで、双方が納得できる解決策を講じることができます。
特に住宅業界は「クレーム産業」といわれるほど、お客様からのクレームが頻発しています。
発生してしまったトラブルを最小限に留められるかどうかの分かれ目は、コミュニケーションの質と量がポイントです。
小さな問題の芽をそのままにしていると、お客様に不満の気持ちが募り、やがて訴訟などの大きなトラブルにまで発展してしまうケースもあります。
重要なのは、お客様の言葉を真摯に受け止め、迅速に対応すること。
クレームを寄せるお客様の中には、住み替え後の不備やサービスへの不満だけではなく、「そう思った経緯を聞いてほしい」「そう感じた気持ちを理解してほしい」といった思いを持っている方が少なくありません。
形式的なクレーム処理やサービスではなく、引き渡し後の手厚いサポート体制を整えておくことで、お客様との間により良い関係を築くことができるはずです。
それがゆくゆくは企業の大きな強みへとつながります。
こちらのコラムでは、住宅業界のクレーム対応のポイントについて詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
住宅業界のクレーム対応のポイントをご紹介!クレーム産業といわれる理由は?
住宅業界におけるアフターサービス戦略の成功事例
ここからは、実際に顧客満足度を高めるために行われた、住宅業界におけるアフターサービス戦略の事例をご紹介します。
事例①定期的にオーナー様を訪問する仕組みを作った会社たち
理想を言えば「家と家族をずっと見守り続けるアフターサービス」ができればそれに越したことはありません。
しかし、特に小さな工務店では、なかなか専任でアフター担当を置くことができず、手が回らなくなり、クレームが発生してからの対応になってしまう例が少なくないようです。
一方、一部の住宅会社では引き渡し後60年間は年1回以上訪問、あるいは30年目まで無料の定期点検スケジュールを組むなど、住宅寿命60年を見据えて定期的なオーナー訪問も含めて長期のアフターサービスを仕組み化する動きが住宅業界で広まりつつあります。
関西のとあるハウスメーカーでは、家が転売されて持ち主が変わっても「家が建っているうちは」と訪問を続けて不具合を確かめ、メンテナンスを続けて「評判」の維持に気を使っています。
定期的にオーナーを訪問する仕組みを作ったA社では、当初は訪問の度にクレームの怒声を浴びることもあったものの、現在では小さなクレームに素早く対応することで逆に信頼を得られることがわかり、欠かせない仕組みになったと言います。
剥がれた敷石を放っておくと、その周囲も剥がれやすくなるように、住宅の不具合は小さなうちに手を打つことが肝心です。
小さなうちに修繕すればコストもかからずお客様の信頼を得ることができるのに対して、深刻なまでに広がってからでは、大きな費用をかけても信用を損なうことは避けられません。
そして、小さな不具合に手を打つためにはお客様との密なコミュニケーションが必要です。
コミュニケーションがあれば、直すほどでもないと思っているような小さな不具合でも「そういえば、キッチンの水回りが...」のように、早めに聞きつけて対応することができます。
定期的なオーナー訪問制度を持つ会社の担当者は、そんな対応が可能になることでかえってお客様に感謝される機会が増えただけでなく、オーナー様家族の成長を見守ることも楽しみになったと言います。
事例②ジョンソンホームズのアフターサービス
ジョンソンホームズでは、オーナー様に安心かつ快適で楽しい暮らしをお届けできるよう、さまざまなアフターサービスをご用意しています。
定期点検サービス
ジョンソンホームズでは、お引き渡し後も安心して暮らしていただけるよう、定期的な点検を実施しています。
点検は、6カ月・1年・2年の計3回行い、6カ月点検は工事担当者が、1年および2年点検は専門のメンテナンススタッフが訪問します。
点検時には、特に不具合がなくても、気になることや心配な点があればお気軽にご相談いただけます。
※「COZYの中古住宅専門店」および「J-リノベ」の住宅の定期点検は、6カ月と2年の2回。
ジョンソンレディ
ご入居後には「ジョンソンレディ」が暮らしの疑問やお困りごとに寄り添います。
住まいのトラブルはもちろん、快適で心地良い暮らしのためのご提案を通じて、長く安心できるサポートを行なっています。
例えば、収納方法のお悩みや、設備の使用方法、暖房の使い方やメンテナンスのポイントなど、暮らしに関するさまざまなお悩みに寄り添います。
修理
住まいの経年による不具合やお困りごとに対して、内容に応じて自社スタッフや専門業者、メーカーが丁寧かつ迅速に対応し、安心して暮らし続けられるようサポート。
「建具が壊れてしまった」「壁に穴が空いた」「玄関タイルが割れてしまった」など、修理内容に合わせてスタッフが適切に対応します。
オーナー様向けリフォーム
設備の経年劣化やライフスタイルの変化に合わせたリフォームを、お客様のご要望に寄り添ってご提案。
図面や建材、メンテナンス履歴を把握した専属のリフォームチームが対応し、リフォーム箇所もアフターメンテナンスの対象となる万全のサポート体制が整っています。
アフターサービス戦略で経営を成功へと導こう
アフターサービスとは、商品やサービスの購入後に提供されるサポートのこと。
問い合わせ対応や修理、設置、使い方の案内など幅広い内容があります。
企業にとっては、顧客満足の向上や信頼の獲得、リピーターの確保、他社との差別化、さらには継続的な収益源としても重要な役割を果たします。
特に住宅業界では、住み始めてからのサポートがお客様の安心感につながり、信頼関係の構築に欠かせません。
アフターサービスを成功させるには、顧客理解を深め、組織全体で対応力を高め、柔軟な体制を整えることが必要です。
ジョンソンホームズでは、定期点検や「ジョンソンレディ」による暮らしのサポート、迅速な修理、オーナー様向けリフォームなどを通じて、長期的に安心して暮らせるサービスを提供しています。
経営のヒントを知りたいという方は、ぜひ一度ジョンソンパートナーズへご相談ください。
ジョンソンパートナーズでは、自社直営店で培ったノウハウを基に、全国のフランチャイズ加盟店様へ営業育成に関するアドバイスも行なっております。
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