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こんにちは、ジョンソンホームズ金子です。
「マーケティング」とは、商品やサービスを買ってくれるお客様を見つけて販売し、満足を得るために必要な一切の活動のことを言います。
「良いものを作っていれば、お客様に認められて買ってもらえる」という時代はすでに終わり、現代は良いものであっても「マーケティング」を考えないとなかなか売れない時代です。
そこで今回は、マーケティングを考える上で重要になる、「4P」「4C」「マーケティングミックス」について解説します。
マーケティングの4Pとは
なにかを販売しようとするときに考えておくべき企業視点のマーケティングフレームとしては、大まかに次の4種類があり、これを総称してマーケティングの4Pと呼びます。
- 商品(Product)
- 価格(Price)
- 流通・場所(Place)
- 販促(Promotion)
例えば、文房具を売るなら小中学校の前と高速道路のサービスエリアのどちらが良いでしょうか?
ちょっと考えてもサービスエリアで文房具を買う人が多いとは思えません。
商品(Product) が文房具であれば、場所(Place)は高速道路サービスエリアよりも小学校の前がふさわしく、小学生が買うことを期待するならそれに見合った値段(Price)設定が必要です。
そして、店の前にのぼりを立てたりチラシを配ったりする割引キャンペーンなどで購買を促すことは販促(Promotion)にあたります。
しかし、もしその文房具が、地域限定のキャラクター文具だったらどうでしょうか。
場所が小学校の前じゃなく高速道路のサービスエリアでも売れそうですよね。
つまり、物を売るにはそれに相応しい場所があります。
4Pについて、詳しくみていきましょう。
商品(Product)
商品(Product)の戦略は、顧客ニーズに応えるために重要な要素です。
まず、ターゲットであるお客様が求める価値をもとに、商品コンセプトを決定します。
コンセプトが決まった後は、技術や製造方法、パッケージ、アフターサービスなどを組み合わせて完成させます。
また、商品の品質、デザイン、パッケージング、そして購入後の保証やサポートといったアフターフォローの面で強みを出すことも重要です。
さらに、お客様の心に残る商品を作るためには、ブランド構築やパッケージデザインも欠かせません。
最終的には、お客様にとって価値のある商品やサービスを提供することが、企業の成功につながるのです。
価格(Price)
価格(Price)の戦略はマーケティングにおいて決定的な役割を果たします。
価格設定が企業の利益に大きく影響するため、慎重に設定する必要があるのです。
価格を高く設定すると利益は増えますが、売れ行きが悪くなる可能性も。
逆に価格を低く設定すると、販売数は増えても利益が十分に得られません。
価格設定には、以下の4つの視点を考慮することが求められます。
- コスト:商品の製造や販売にかかる費用を踏まえて利益を確保すること
- 市場価格:消費者が期待する価格帯を意識して価格を設定すること
- ブランド価値:価格が高くても、それに見合った価値を感じてもらうための工夫をすること
- 競合との違い:競合他社の価格を参考にし、どのように差別化を図るかを考えること
価格は購入意欲に直接影響を与えるため、商品の価値に見合った価格設定が重要です。
低価格戦略を採る場合は、十分な利益を得られるかを事前にチェックすることが必要になります。
また、価格設定は単に利益を重視するだけでなく、競争環境を考慮しなければなりません。
利益を優先しすぎると、価格競争で不利になる可能性があります。
商品が提供する価値やターゲット市場に適した価格設定、そして競合との差別化を図ることが、価格戦略には欠かせません。
流通・場所(Place)
商品やサービスがどこで、どのように販売されるかを考える要素が、流通・場所(Place)です。
具体的には、実店舗やオンラインショップなど、商品が消費者に届く経路を決めることが求められます。
流通戦略には主に次の5つの方法があります。
- 開放的チャネル戦略:販売ルートを制限せず、広範囲で商品を提供する戦略
- 選択的チャネル戦略:販売条件や契約内容を考慮して、特定の流通経路を選ぶ戦略
- 排他的チャネル戦略:特定の店舗や地域に商品を独占的に販売し、管理しやすくする戦略
- チャネルミックス戦略:複数の流通ルートを状況に応じて組み合わせて活用する戦略
- チャネル開拓戦略:新しい流通経路を自社で開発し、独自に商品を届ける戦略
このようにマーケティングでは、ターゲット層に最適な販売経路を選び、商品が確実に消費者に届くように設計することが重要です。
販促(Promotion)
自社商品をターゲット層に知ってもらい、購買を促すための戦略や方法が販促(Promotion)です。
商品の魅力や特徴をしっかり伝えることで、意図的にニーズを生み出すことができます。
販促の目的は、商品やサービスの特徴を伝えて認知度を高め、購買につながるきっかけを作ること。
ターゲットに合った最適なプロモーション方法を選定し、予算や具体的な施策を考えることが重要です。
販促の手法には、商品の新たな需要を喚起するPR活動や、オンラインでの情報発信(コンテンツマーケティング)があります。
インターネットの普及に伴い、ダイレクトマーケティングも普及し、顧客の購買意欲を直接刺激して商品購入に結びつける方法が一般的になっています。
また、テレビCMなどのマス広告は、広範囲での認知度向上に有効でしょう。
どれほど優れた商品でも、認知されていなければ販売にはつながりません。
そのため、販促では商品のターゲット層に最適な販路を見極め、効果的な方法を考えることが必要です。
商品の魅力を多くの人に伝えるための販促手段を検討しましょう。
マーケティングの4Cとは
4Pを現代に合わせて再定義した概念「4C」というのもあります。
これはお客様の視点に立ったマーケティングフレームで、次の4種類を指します。
- 顧客価値(Customer Value)
- 顧客にとっての経費(Cost)
- 顧客利便性(Convenience)
- 顧客とのコミュニケーション(Communication)
4Cについて、詳しくみていきましょう。
顧客価値(Customer Value)
顧客価値(Customer Value)は、4Pの商品(Product)に対するもので、商品がお客様にもたらすメリットや価値のこと。
これは単なる商品やサービスの仕様や性能にとどまらず、お客様がそれを購入・利用することによって得られる感情的な満足感や、アフターサービスといった付加価値も含まれます。
また、お客様が抱える問題を解決する能力も、製品の価値の一部です。
価値は品質や機能に加え、パッケージやブランド、ニーズに対する適合性など、さまざまな要素から成り立っています。
お客様が求める価値は、単なる機能面に限らず、使用後に感じる楽しさや特別感、癒しといった感情も重要な要素となります。
このように、製品やサービスの価値は、お客様の心に響く形で提供されることが求められているのです。
顧客にとっての経費(Cost)
顧客にとっての経費(Cost)は、4Pの価格(Price)に対するもの。
単なる価格にとどまらず、商品が届くまでの待機時間や、商品を使用できるようになるまでの学習時間、購入手続きにかかる手間など、時間的、労力的、心理的なコストも含まれます。
さらに、お客様が感じる心理的な負担や抵抗感もコストの一部として捉えることができます。
このように商品の代金だけでなく、それらも含めた経費のことを指すのです。
例えば、レンズ交換式カメラのレンズにはメーカー間の互換性がないため、すでに持っているのと違うメーカーのカメラを買おうとすると、レンズまで買い直さなければいけなくなってしまいます。
企業はお客様にコスト全体に見合った価値を提供できるかを検討する必要があるのです。
顧客利便性(Convenience)
顧客利便性(Convenience)は、4Pの流通・場所(Place)に対するものです。
お客様が商品を手に入れたり使ったりするにあたっての利便性のことを指します。
商品やサービスの入手しやすさは、お客様の購買意欲に直結します。
たとえ魅力的な商品があっても、お客様が購入できる場所や方法が限られていると、売上につながりづらいです。
そのため、販売経路や流通チャネルはお客様の視点で最適化する必要があります。
例えば、実店舗での販売では、立地や営業時間が重要な要素となり、オンライン販売ではウェブサイトの使いやすさや決済方法の利便性が求められます。
ただし、お客様のニーズに応じて、あえて入手困難にすることで商品価値が高まることもあります。
顧客とのコミュニケーション(Communication)
お客様とのコミュニケーション(Communication)は、4Pの販促(Promotion)に対するもの。
販促は売り手から買い手への一方向的なものですが、コミュニケーションは双方向に行うものです。
マーケティング戦略が成功するためには、企業とお客様の間での情報交換が欠かせません。
その手法としては、ダイレクトマーケティングやコンテンツマーケティングなど多様なアプローチがあります。
ただし、単に一方的に情報を提供するだけでは不十分です。
お客様の意見やニーズを理解し、フィードバックを受け止めることが求められます。
売り込みではなく、お客様が求める情報を提供することに重点を置くことで信頼関係を築き、より良いコミュニケーションが生まれるのです。
4C分析の活用方法
4C分析は、マーケティングにおいて製品やサービスの開発・改善、競合分析などに活用することができます。
4C分析の2つの活用方法
4C分析の活用方法は主に2つあります。
活用方法①商品開発・既存製品の改良
4C分析は、新商品の開発や既存商品の見直しに有効です。
特に新製品開発においては、企業や開発部門が自分たちの「作りたいもの」に偏りがちです。
しかし、4C分析を通じて顧客ニーズや価値観を理解することで、顧客視点に立った商品設計が可能になります。
また、既存商品の改良においても、4C分析を活用して市場のニーズや競合との差別化を意識した調整が行えます。
活用方法②競合分析
4C分析は競合他社との比較にも役立ちます。
競合の商品やサービスがどのようにお客様に評価されているのかを明確にし、自社の強みや差別化ポイントを見つけることができます。
競合商品の訴求ポイントを調査することで、自社商品に新たな価値を加えるアイデアが得られ、より魅力的な商品やサービスの提供が可能になるのです。
競合にはない特別な機能や技術を提供することで、ユニークな価値を提供し、マーケットでの優位性を高めることができます。
3C分析・5C分析とは
4C分析と似た名前のマーケティング用語に「3C分析」と「5C分析」というものがあります。
これらはそれぞれ異なる要素に焦点を当て、企業の市場における競争力を評価するというものです。
3C分析は、主に自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つの要素に焦点を当て、企業の戦略をシンプルに分析します。
企業が市場においてどのような立ち位置にいるかを理解し、競争優位を得るための戦略を立案するための基盤を提供することが目的です。
一方、5C分析は3C分析をさらに発展させたもので、基本的な3Cに加えて、協力者(Collaborators)と環境(Context)の2つの要素を加えたもの。
企業が競争環境をより広範囲に捉え、協力者や外部の影響要因を考慮に入れて戦略を策定するためのフレームワークです。
3Cに協力者と環境要因を加えることで、より広範で包括的な視点から市場を分析できます。
マーケティングミックスとは
マーケティングミックスは、企業のマーケティング戦略を立案するための手法で、先ほどご紹介した企業視点の「4P」と顧客視点の「4C」という2つの枠組みを組み合わせて活用します。
これらをもとに、ターゲット市場や顧客ニーズに合った戦略を設計し、効果的なマーケティング活動を進めることを目指します。
住宅会社におけるマーケティングミックス活用法
住宅会社のマーケティングを考えるためにも4P・4Cの見方は必要です。
中でも改めて考えたいのは、「住宅会社が売る商品(Product)は何なのか?」ということ。
住宅会社の場合、普通に考えれば「家」となりますが、そこから「家」の顧客価値とは何かを考えていかなければなりません。
例として、カフェ・チェーンとして有名なスターバックスを挙げてみましょう。
スターバックスで売っている商品(Product) は「コーヒー」ですが、スターバックスは自社の顧客価値を「家でも職場でもない、くつろげる第三の場所」と考えました。
スターバックスはその考えに沿って店作りを行なった結果、競合他社よりも高い値付けに成功しています。
スターバックスの成功を考えてみると、住宅会社の商品である「家」に対する4Cの考え方とは、人は家そのものが欲しいのではなく、家を通じて手に入る「暮らし」の快適さを求めており、それが顧客価値であると考えられます。
会社として顧客価値を再定義するだけではなく、お客様に受け入れられるためにはさまざまな手立てが必要です。
例えば、スターバックスの場合は「第三の場所」という顧客価値を実現するため、大都市のビジネス街、繁華街を中心に出店しています。
やや高めの価格設定で単なる安いコーヒーを求める客を排除し、商品パッケージデザインや従業員教育を含む統一的なマーチャンダイジング(商品化計画)を行い、特徴的なブランド・ロゴをデザインしてコミュニケーションに活用しています。
マーケティング戦略については下記コラムでもご紹介してますので、あわせてご覧ください。
マーケティングでは4P・4C・マーケティングミックスが重要に
マーケティング戦略を考える際は、企業視点での「4P」とお客様視点での「4C」が重要です。
4Pは、商品(Product)、価格(Price)、流通・場所(Place)、販促(Promotion)の4つの要素から成り、企業が市場で成功するために必要な基本的なフレームワークです。
商品の価値を最大化するためには、顧客ニーズを反映させる商品開発や、適正な価格設定が求められます。
また、商品の流通経路や販促活動を最適化し、ターゲット市場に届くようにすることが重要です。
一方、現代では「4C」という顧客視点のフレームワークも注目されています。
4Cは、顧客価値(Customer Value)、顧客にとっての経費(Cost)、顧客利便性(Convenience)、顧客とのコミュニケーション(Communication)の4つで構成されています。
これは顧客の視点に立った戦略を立案するための指針となるものです。
4Pと4Cを組み合わせたマーケティングミックスの考え方も取り入れて、自社の商品をどんどんアップデートしていきましょう。
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