建設業が下請け業者に仕事を依頼するメリット&外注する際の注意点

売れる仕組み
2021年02月12日 by ジョンソンホームズ スタッフ

目次

建設業界は、時期により工事の量が異なることや工事の効率化を図るため、下請け業者への依頼が一般的に行われている業界です。

業界の構造は大手ゼネコンを頂点に、下請け孫請けと多段階に仕事の発注が行われる多重下請け構造となっています。

現在建設業を営んでいて、下請け業者へ仕事を依頼することを検討している方もいるのではないでしょうか。

今回は、下請け業者へ仕事の依頼を検討している方に向けて、業界の仕組み下請け業者の種類・役割仕事を依頼するメリット・デメリットや注意点を解説します。

下請け業者への依頼で失敗したくない方や、効果的な依頼を行いたい方は、ぜひ参考にしてください。

建設業の仕組みと請負業者の関係性

SZv172-HC052-thumb-autox562-36.jpg

建設業界と聞いて多くの方がイメージすることは、規模が大きく知名度も高いゼネコンと呼ばれる大手建設会社ではないでしょうか。しかし、建設業界の仕事は大手建設会社だけで成り立っているわけではありません。

建設業界の発注の仕組みと、請負業者の関係性は、下記のようになっています。

発注者 > 一次請け(下請け) > 二次請け(孫請け)

建設業界においては、民間企業・国・自治体といった発注者から、ゼネコンをはじめとした規模の大きな建設会社に仕事が発注されます。発注者から直接依頼を受けた人や企業のことを「元請け」と言います。

仕事を受けた元請けから、仕事の全部または一部が請負契約を締結した別の会社へと発注されます。

元請けから仕事を受注する人や会社のことを「下請け・一次請け」と言います。

建設業界では下請け業者から更に別の下請けに仕事が発注されることも多く、一次請けから仕事を受注した人や企業は「二次請け」と呼ばれます。

規模が大きな工事では五次請けまで請負が拡大することもあります。

工事の規模に合わせて請負業者が関係することで、大規模な工事を施工することが可能となります。

請負業者の種類・役割

ここでは、ゼネコンをはじめとした建設業界の構造を担う各種企業について詳しく解説します。

それぞれの企業が担う役割を把握しておきましょう。

ゼネコン

ゼネコンは、多数の請負業者に工事を発注して取りまとめを行う企業です。

建設業界においては元請けとして発注者から工事を受注する存在です。

特に規模が大きなゼネコンはスーパーゼネコンと呼ばれます。

大規模な工事を受注可能で、受注可能な分野が幅広いことが特徴です。

サブコン

サブコンは、ゼネコンから依頼を受けて設備などを専門的に担当する企業のことです。

設備が重要な工事である場合は、サブコンが元請けとなって工事を受注する場合もあります。

建設設計会社

建設設計会社は、建造物の設計・計画や、工事の管理を専門的に担う企業のことです。

ゼネコンから依頼を受けて設計を行ったり、共同で設計を行ったりします。

その他

建設業界では、上記に分類されない企業もあります。

例えば、橋の施工を行う橋梁メーカー基礎・地盤工事を行う特殊土木企業です。

建設業界に分類されないこともありますが、工事の内容によっては重要な存在となります。

建設業が下請け業者に仕事を依頼するメリット・デメリット

3279836_m.jpg

下請け業者仕事の依頼にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。

下請け業者へ効果的に仕事を発注するためには、メリット・デメリットの両側面を把握しておくことが重要です。

ここでは、建設業が下請け業者へ仕事を依頼するメリット・デメリットについて解説します。

メリット

・コストを削減できる

下請け業者を利用することで、工事が必要な時だけ仕事を発注してリソースを補うことができるため、人件費をはじめとした自社のコストを大きく削減することが可能です。

また、下請け専門で活動している業者には、低コストをセールスポイントとしている業者も多くあります。

コストパフォーマンスに優れた下請け業者を選定することで、同じ工事でも更にコストを削減することができます。

・人手不足を解消できる

建設業の工事は時期により案件が多かったり少なかったりするため、安定しません。

大規模な工事を受注したり案件が重なったりすると、予想外の人手不足に陥ることもあります。

下請け業者を利用することで人手不足・リソース不足の解消に繋がるだけでなく、案件受注のチャンスロスを防げることも大きなメリットです。

・本業に集中できる

一定以上の規模の建設会社となると、業務量が多くなるだけでなく、業務内容も多岐にわたります。

そのため、すべてを自社で行うとなると、非常に煩雑となり自社のコア業務に支障をきたす場合もあります。

下請け業者は多数存在しており、得意とする業務もさまざまです。

受注した案件の関連業務や周辺業務を下請け業者に委任することで、自社は本業に集中することができます

デメリット

・情報伝達が複雑になる

下請け業者に仕事を依頼すると、工事に関わる人員が増えるため、情報伝達が複雑になることがデメリットです。

情報伝達は人を介するほど伝達ミスや伝達漏れが多くなります。

そのため、下請け業者を利用する際には情報伝達のルールを定めたり、管理者・責任者を明確にしたりするなどの工夫が必要となります。

・情報が漏えいする可能性がある

下請け業者に仕事を依頼する場合は、外部の業者と仕事に必要な個人情報や機密情報を共有することとなります。

そのため、下請け業者を利用する際には、管理の徹底とともに信頼できる業者を選ぶことも重要です。

契約・コンプライアンスの遵守や下請け業者の管理を徹底しなければ、情報が漏えいして問題に発展するリスクがあります。

・業者によっては費用が高額となる

下請け業者もビジネスとして仕事を請けているため、条件が悪ければ仕事を断ったり他の仕事を選んだりすることもあります。

安価で信用できる下請け業者へタイミングよく仕事を依頼できるとは限らないため、状況によっては予想外に費用が掛かる場合があることにも注意が必要です。

下請け業者に仕事を依頼する場合の注意点

建設業許可.jpg

建設業界では、工事に係る期間やリソースの関係から、下請け業者へ仕事を依頼することは頻繁にあります。

しかし、下請け業者に仕事を発注するにあたってはいくつかの注意点があります。

特に注意しなければならない点が、「一括下請け」を行わないことです。

下請け業者に受注した仕事を丸投げすることは、建設業法22条で禁止されています。

一括下請けの禁止はすべての工事に適用されるため、元請け業者から一次下請けだけではなく、一次下請け業者から二次下請け業者、またそれ以下についても適用されます。

一括下請けの禁止規定に違反すると、主に元請け業者が責任を問われますが、基本的に関与した下請け業者も責任を問われます。

建設業法に基づく監督処分の対象となり、営業停止となる場合もあるため、絶対に行わないようにしましょう。

一括下請けが禁止されている理由については、以下に詳しく解説します。

一括下請けが禁止されている理由

建設業法において一括下請けが禁止されている理由は、下記のとおりです。

・発注者の信頼を保護するため

発注者は、元請け業者の信頼・技術力・実績などをもとに工事を発注しています。

受注した業者が一括下請けを行い、別の業者に工事を丸投げすることは、事実上発注者は技術力・実績が不明な別の業者に工事を発注したこととなります。

別の業者に工事を丸投げすることは、信頼して発注してくれた発注者を裏切ることになり、また責任の所在も不明瞭となります。

発注者の信頼を保護して、工事の品質や責任の所在を担保するためにも、建設業法では一括下請けを禁止しています。

・建設業の発展に弊害をもたらす可能性があるため

工事を受注した業者が一括下請けを行うと、工事の責任の所在が不明瞭となるだけでなく、技術力や信頼性が不確かな業者の排出工事品質の低下といった弊害をもたらす可能性があります。

また、一括下請けを受注した業者がまっとうな下請け業者であったとしても、工事代金の中間搾取や下請け業者の利益低下労働条件の悪化などを招きます。

特に、建設業界は多重下請け構造となっているため、一括下請けが繰り返されると末端の業者ほど不利益を被ります。

一括下請け建設業の発展に多くの弊害をもたらす恐れがあるため、建設業法にて禁止されています。

出典:電子政府の総合窓口e-Gov「建設業法」

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC0000000100#216

一括下請けであるかを判断するための基準

最後は、一括下請けを判断するための基準について解説します。知らずに法を犯してしまうことがないように、必ず確認しておいてください。

一括下請けであるかの判断基準は、端的に説明すると「元請け業者が実質的に主たる部分の施工に関与を行っているか否か」で判断されます。

元請け業者が実質的に関与すべき項目は、下記のとおりです。

  • 施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理
  • 安全管理
  • 技術的指導

具体的な工事は下請け業者が行っても問題ありませんが、上流工程である管理や指導は元請けが介入していることが必要となります。

人員配置を行うだけである場合や、上記の一部を行うだけである場合は実質的な関与とは認められません。元請けは施工すべてに対して責任を負い主体的に役割を果たすことが求められます。

上記の業務を元請け業者が行わず、下請け業者に行わせた場合は一括下請けに該当します。一括下請け違反の罰則は重いため、曖昧となっていないかを今一度確認しておきましょう。

まとめ

98e6bcadbaee811206d5c750b673a40a_s-thumb-autox562-271.jpg

建設業界は工事の規模や金額が大きい業界であるため、下請け業者との連携は必ず必要となります。

下請け業者に仕事を発注することで、プロジェクトの効率化やコストの削減など、多くのメリットを得ることができるため、ビジネスを大きく成長させることが可能です。

下請け業者へ仕事を依頼する場合、一括下請けなどの法令に注意する必要はありますが、正しい知識を身に付けることで仕事の依頼によるリスクを回避することができます。

下請け業者に仕事を依頼することを検討している建設業の方は、ぜひ今回の情報を参考に、健全かつ効果的な発注を行ってください。

写真:資料請求(無料)
資料請求(無料)
写真:セミナー
セミナー参加申し込み