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こんにちは、ジョンソンホームズの川田です。
複数の右腕のつくり方を話題にした前回に続き、今回は現場の業績管理に私がどのように関わっているか、また、「任せ方」のコツについて取り上げます。
「任せた」「任せられた」の関係を成立させる
まず前提として、前回のコラムの流れからお伝えすると、経営トップが右腕に「任せる」ことは肝要です。
しかし、好き勝手にさせ、放任するわけではありません。
任せるといっても報告はしてもらい、管理が必要な場面にはしっかりと関わります。
報告といいましたが、当社では目標に対する進捗状況等は、都度社員の誰もが見られるように情報共有しており、もちろん私も共有段階で中身は把握しています。
右腕陣には業績を伸ばすための方針(戦略)を考えてもらっています。
考えた方針を提案してもらい、それに対して意見や助言を交えながら話し合い、合意・承認に至ったあと、戦術・戦闘面にはなるべく私は入らないようにしています。
当社では、3カ月に1回「方針発表会」という会議を設けて方針(戦略プラン)の合意・承認の場とし、それとは別に実施している毎月の会議で、進捗具合の振り返り、対策について話を聞いています。
会議の詳細についてはコラム後半で触れたいと思います。
営業の責任者を例にします。
営業の責任者には、期間を定めた営業方針(戦略)、受注目標を達成するための方針等を考えてもらいましょう。
その内容についてがっちりとすり合わせを行い、合意・承認したら、あとのやり方について、また、実行期間中もあれこれ口を出さずにいてあげます。
そして、進捗振り返り、対策についてしっかりと報告してもらいましょう。
その際、多少の意見や助言はあっていいと思いますが、やり方までは口出ししません。
方針の合意・承認という過程を経て、はじめて「任せた」「任せられた」という関係が成立します。
逆にいうと、方針に対して合意なく任せるというのは、そこの関係が存在しないんだと私も気づきました。
何をどこまで「任せた」のか「任せられた」のかを明確にすることは、例えば思い込みで多額の経費をかけてしまった等々、実行段階での勘違いの発生を防ぐことにもつながります。
結果に至るための正しい方針、正しい努力、正しい管理がなされた上で目標達成に至らない場合は、方針を承認したトップの責任です。
やり方まで示すことを避ける理由
例えば、戦略に対する合意がないまま、会議の場で戦術について話をする方法だと、そもそも戦略自体が薄まってしまうため、これはよろしくありません。
もし経営トップ自身が、このやり方はどうかという戦術面を思いついた場合は、右腕に「次の戦略に加えて欲しいがどう思うか」と意見を聞くなど、キャッチボールをすることが大事です。
また、右腕陣からのプレゼン内容等が、戦うのは難しいだろうと感じる中身だった場合、再提案を要求し続けましょう。
内容が甘かったり、納得が行かないためにやり方自体をトップが示すというのはよろしくありません。
かくいう私もやりがちなのですが...。
戦術面までトップが全て指示をしてしまうと「やってくれるんだ」とスタッフを依存させることになったり、「結局やらせてもらえないんだ」とモチベーベションを下げてしまうことになったりします。
いずれにしても経験が身に付かず、右腕として育っていきません。
合意・承認後は任せて口出ししないようにすると言っても、経営者自身が意識を変えなければなかなか難しいことなのですが、トップが入りすぎると育成面がおろそかになってしまい、結局、会社として成長していかないのです。
戦略の承認、管理の具体例
わたしたちジョンソンホームズでは、自社で経営者の右腕を育てるために各自に戦略を考えてもらい発表する場や、それぞれのマネージャーをフォローする仕組みを取り入れています。
具体的に、次のような会議を設け、管理としては、方針(戦略)がうまくいっているか、うまくいっていないならどう対策しようと考えているかを聞いてあげることをしています。
- 方針発表会
- 経営会議
- GM面談
方針発表会
3カ月に1回開催。PDCAサイクルでいうと、右腕陣が考えた方針(戦略プラン)に対する合意・承認の場面です。
3カ月に1回、方針の提案を受け、それを承認します。右腕陣には、あるべき姿と現状を対比して課題を導き出し、今解決すべき課題に優先順位をつけて3つ挙げ、どう対策するかを数値化して発表してもらいます。
課題は集客率、面談数、成約率、契約数などもそうですが、営業マンの数字の個人間格差が開いていれば、それが課題として抽出されたりもします。対策はすべて数値で出すルールです。
また、年計画を立て、それを四半期に分けた「四半期計画」を立てることを新たな戦略として取り入れます。
これについても任せ、3カ月に1回承認。月単位でうまくいっているかどうかの報告を受けます。
経営会議
月1回実施し、数字の報告をしてもらいます。
PDCAサイクルでいうと「C」と「A」に私が関わります。
振り返りをし、現状の課題設定、課題への対策、ゴールを数値化して報告してもらっています。
報告する右腕社員が、報告内容に自信を持っていたり、論理的に理に適っていたり、目標未達の原因を分析できていたりすれば、意見や助言はせずに引き続き任せます。
逆に半年・1年と低迷が続くようであれば厳しく入っていきますが、やり方までは口を挟みません。
GM面談
月1回実施し、月半ばに行います。
主に目標に向かう事業部のテンションを聞いています。
悩んでいることや困りごとがあれば、別の場面で回答します。
まとめ
経営者の右腕を育てるには時間と労力が必要な「経営者にしか出来ない仕事」です。
現在経営者だけが行っている経営に関わる戦術・戦略を右腕候補の人材に「考えてもらう」場を作りましょう。
「任せる」といっても、経営トップが一切口出しをせずにいては、会社が傾いてしまいます。
ただ丸投げするのではなく、悩みや直面している課題の相談を受けることを積極的に行いましょう。
何をどこまで任せるか、どこまで口を出し、どこから出さないかを決めておくことは大事です。
右腕が育ってくれることで、トップ自身の時間が取れ、自分にしかできない仕事に集中できるようになります。
企業規模が一段階上がるきっかけになるような、実はとても重要なことを書いたように思います。
参考になれば嬉しいです。
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