工務店の課題は?生き残り戦略は新たな事業領域開拓にあり

売れる仕組み
2022年10月05日 by 川田 新平

目次

こんにちは、ジョンソンホームズの川田です。

近年、インフレやウッドショックをはじめとする資材ショック、さらに感染症拡大による集客低下の影響で、地方の住宅会社は危機的状況に立たされている企業がいくつもあります。

さらに、野村総合研究所(NRI)の調査では、2021年度で87万戸ある新設着工件数が2030年度には70万戸、2040年度には49万戸まで減少すると予測されています。

今回は、工務店経営の課題とその解決策について解説!

私たちジョンソンホームズは、札幌市で新築戸建て住宅からスタートし、「リフォーム」「リノベーション」「建売」「インテリア」「エクステリア」「飲食」「住宅フランチャイズ」まで、事業拡大を行ってきました。

その事例もご紹介しながら、工務店の事業領域拡大手法など、工務店の課題解決策についてお話しします。

工務店の課題とは?

少子高齢化などに影響を受け、工務店はさまざまな経営課題を抱えている状態です。
まずは地方工務店の代表的な課題について見ていきましょう。

着工数が減少している

2021年度の新設着工件数は、新型コロナ感染症の影響を受け始めてから3年ぶりに増加に転じて87万戸となりました。

しかし、世の中の住宅需要は下がり続けています。
野村総合研究所(NRI)の試算では、2030年度の新設着工件数は70万戸、2040年度では49万戸と予測しており、今後その規模は縮小することが見込まれています。

2021年度から2030年度までで失われる市場はどのくらいになるのか計算してみましょう。
住宅の平均坪数を30坪とすると、下記の計算式で9年間のうちに失われる市場規模を求めることができます。

{(2021年の着工件数) - (2030年の着工件数)} × (平均坪単価 × 30坪)

2021年度の注文住宅の平均坪単価は約68万円ですので、
(87万戸 - 70万戸) × (68万円 × 30坪)= 3兆4680億円

そのうち、貸家・給与住宅を抜いた戸数の割合が2021年でおよそ61%を占めるため、新設着工される戸建・分譲住宅の市場規模は下記の通り。

3兆4680億 × 0.61 =約2兆1155億円

したがって、2021年から2030年の9年間で約2兆1155億円の市場が戸建・分譲住宅から失われます。
化粧品、パン、たばこの業界がそれぞれ2.7〜2.8兆円程度の市場規模とされていますので、それぞれの業界が一つ日本から消えることと同じくらいの減少になりますね。

これほどのインパクトがあるため、大手ハウスメーカーは続々と合併やM&Aを推進して生き残り体制を整えています。

建設業界が仕組み的に遅れをとる可能性が高い

地方工務店に限った課題ではありませんが、2030年には建設業界は他の産業の企業に社内制度や仕組みの面で遅れをとる可能性が高いと予測されています。

したがって、競合他社とだけ競っていては淘汰されてしまうことも大いにあるでしょう。

民間のシンクタンクの調査によると、2030年の建設業の労働市場需要供給の推計では、およそ100万人程度需要過多になると予測されています。

つまりこれは、少ない仕事を建設会社同士が取り合うこととなり、建設業が買い手市場になっていくことを指します。
そのため、利益を確保できる企業が減っていきます。

さらに、100万人もの労働供給人口が余っているので、今世間で騒がれているDX化や効率化について、建設業は取り組まなくても仕事が回ってしまいます。

そうなると2030年の建設業界には儲からない企業が増え、人材が余ってしまうためDX化も効率化も進める必要がなく、他の産業から大きな遅れをとることになります。

市場規模縮小と労働供給過多の影響が2030年に顕在化すると、従来のやり方を続けたり、「競合と右ならえ」の経営を行う建設会社は淘汰される側に回ってしまうでしょう。

集客を紹介に頼っている

地域の工務店が生き残っていくためには、地域に根差し、地域密着度・認知度が高くなければいけません。
住宅会社が地域に根差していて地域密着度が高いかどうかを測るには、業者やオーナー様から紹介受注がどれほどあるかが一つの指標になります。
紹介受注が多ければ多いほど、地域に根差していることが証明されます。

しかし、工務店として新築戸建ての紹介をもらえるだけでは、今後の住宅業界を生き残っていけるほどの数には達しないだろうと考えています。
そもそもの間口が新築しかないため、非常に狭き門になっています。

着工数が減少する業界の中で工務店が経営を持続させるには、紹介に頼った営業ではなく戦略を練って積極的に集客を行っていく必要があります。
Webサイトを使った広報やターゲットに応じてSNS広告も活用するなど、新しい手法を取り入れていくことが不可欠です。

職人の高齢化によって人材が不足している

建築業に携わる職人は高齢化している傾向にあり、さらに労働環境や待遇などを理由に新たに就業する若者が減っていることも課題として挙げられます。

若者を採用しても技術を持った職人に成長するまでに時間が必要ですし、大手ハウスメーカーなら育成に手間をかけられるかもしれませんが、工務店では難しい場合もあります。

また、せっかく育てても一人前になる前に退職してしまうケースもあるでしょう。

技術を身につけた人材を確保することが難しい状況では、自社の人材課題がどの段階にあるのか細分化して考え、対策していくことが大切です。

課題が採用段階にあるのか、育成段階にあるのか、人材がすぐに辞めてしまうことにあるのかを、見極めましょう。

資金力を活かす知識が不足している

経営を持続していくには、当然ですが資金力が必要です。
工務店は単価が高い「家」を商品として扱っているため、資金の出入りは大きいですが、受注してから入金までの期間が長いという特徴があります。

そのため、工務店の経営者には、コストが多くかかるものの入金が少ないという期間でも、資金繰りができる財務知識が求められます。

工務店経営者の中には、施工技術は優れていても財務知識が乏しい方も少なくありません。

経営を数字で管理し、もし資金力に余裕があっても無駄な経費を使わず、課題解決のために適切に資金を振り分けられるよう、知識をつけることが重要です。

工務店の課題を解決する生き残り戦略

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多くの課題を抱える地方工務店がこの状況下で生き残るには、新たな事業領域の開拓や集客手法の転換、適切な経費削減などを行うことが必須になってくるでしょう。

さらに、工務店が今後生き残っていくためには、最低でも地域トップ5ぐらいの立ち位置にいる必要があります。

独自路線を貫いたニッチな市場を自ら作り上げていくという手もありますが、やはり王道は地域に認知され、しっかりと従業員を雇用し続けられるくらいの棟数を確保することが重要です。

そのためには、他社がすぐに真似できない独自の強みを身につけることが欠かせません。
私たちは事業領域開拓が地域工務店の独自の強みになるのではないかと考えています。

それに加えて、集客面や資金面でも戦略が必要となります。
では、地方工務店の3つの生き残り戦略の手法について詳しくご紹介します。

事業領域の開拓

事業領域の開拓は、決して簡単ではありません。
しかし、今後の住宅業界を生き残っていくためには、一番効果的な手法ではないかと私は考えて実践しています。

先ほどもお話しした通り、新築戸建ての着工数は今後減少していきます。
だからこそ、新しい事業領域の開拓は今から始めておくべきです。

まずはリフォームやリノベーションなど、自らの事業領域に近いものからスタートしましょう。
そして家に関連するサービスを中心に、地域状況や自社のリソースを鑑みてインテリアショップなどに事業領域の開拓を行うのがおすすめです。

私たち、ジョンソンホームズではインテリアショップの展開が大成功しています。
インテリアショップでは、それぞれのブランドコンセプトに合わせたオリジナルのオーダーソファを作ることができるため、住宅に付加価値が生まれます。

ブランド名を冠したインテリアショップを展開することで、インテリアショップを利用したお客様に住宅に興味を持っていただき、実際に建築まで至った例はいくつもあります。

当社では10年以上前から家具・雑貨のショップがあるため、昔から通ってくださっていたお客様のお子様がお家を建てる年齢になり、真っ先に当社の住宅を見に来てくださることも。
もし、私たちが住宅建築の領域にだけに絞っていたらこのような体験をすることはできませんでした。

本当の意味で地域に根差した企業を目指していくのであれば、新築戸建てだけではない様々な事業で自社に触れてもらえるよう、現在の事業領域を拡大していきましょう。

集客手法の転換・強化

今と昔とでは、住宅を買う際のお客様の動向や考え方はガラッと変わっています。

昔は住宅購入を考え始めたら、まず住宅総合展示場へ足を運び、大手ハウスメーカーの住宅を一通り見て、予算が難しいようだったら次は地域の工務店を検討するという流れでした。

しかし現在はWebサイトやSNSの普及によって、足を運ぶ前にある程度絞って住宅会社の個別の見学会や相談会などに行き、お家づくりを進めることが増えてきています。

今までのように完工したお客様の住宅を引き渡しまでの期間で借り、見学会を実施するだけでは、継続的にお客様を集客するイベントが難しいといえます。

自社のコンセプトを体現した売却型モデルハウスを年間の集客計画から逆算して用意し、フルで家具・雑貨を設置した状態の内観を、いつでも見せられるように計画しましょう。

また、販促媒体も紙媒体だけではなく、SNSでの広告や日々の投稿、Webサイトのブログ・記事を活用して、幅広い集客ルートを確保することも必要です。
そのためには、兼任の販促・広報では不十分で、会社規模に応じて最低1人はマーケティング担当の人材採用が必須になっていきます。

経費・コスト削減

お客様により良い品質の商品を安価で販売することができると、競合他社への優位性を取ることができます。

社内で現在行われている業務を洗い出し、無駄やムラはないかチェックして工数を削減しましょう。
無駄やムラが減ることで、少ない人員のままでより多くの棟数をこなすことができるようになり、コストを抑えられます。

そのほか、注文している建築資材の仕様やメーカーを見直したり、今注文している販売店とは別の会社に相談してみることもコスト削減に効果的です。

さらに、共同購買ができるネットワークに加盟して資材価格を下げることも、お客様へ販売する住宅価格の直接的なコスト削減に繋がります。

また、営業ツールや施工管理ツールを導入して業務効率化を図るDX化も、今後の住宅業界では注目されてくるのではないかと思っています。

課題が多い工務店では生き残り戦略をしっかり持つことが大切

建設業界は現在、斜陽産業に片足を突っ込んだような状態になっています。

新設着工数が大きく減少しつつあるだけでなく、今後業界全体が他産業よりシステム面で遅れをとる可能性が高いでしょう。

業界全体が危機的状況であるのに加え、地方工務店では紹介に頼った集客や、技術力のある若い人材の不足、適切な資金繰りができていないことなど、課題が山積みです。

地域の工務店が生き残っていくためには、今まで通りの企業運営だけではなく、事業領域拡大、集客手法転換、コスト削減などが必要です。

新たな取り組みで棟数を伸ばし、地域に根差した運営をするために事業領域の開拓を推し進めていきましょう。

ジョンソンパートナーズでは、住宅フランチャイズとして住宅ブランドの提供を行っています。
それだけではなく、地域工務店の会社経営をより良くするためにミッションの策定から管理職、新人スタッフ育成、事業領域開拓のお手伝いなど、幅広い業務を支援しております。

  • 住宅事業の今後に不安がある
  • 集客が不足している
  • 新たな商品導入を検討している

上記のような住宅会社様ごとの様々なお悩みを並走して解決していきます。
上記の悩みが一つでもございましたら、ぜひ一度ジョンソンパートナーズへご相談ください。

また、Facebookでも日々中小企業の経営者様が抱える経営課題の解決に繋がるような発信をさせていただきます。
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