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顧客目線に立ったマーケティングが重要!理由や方法、事例を紹介

こんにちは。ジョンソンホームズ中原です。
「顧客目線」とは、企業側の都合ではなく、利用するお客様の立場や感覚を起点にサービスや商品を見直す考え方。
顧客目線に立つことで、お客様が本当に求めていること、つまり表に出てこないニーズまでを汲み取ることができるんです。
今回は、顧客目線とは何かということから、顧客目線が重要な理由、顧客目線を生かしたマーケティング事例などについて、わかりやすく紹介していきますよ!
顧客目線とは
顧客目線とは、売り手ではなく、実際に商品やサービスを使うお客様の立場で考えること。
売り手の思いだけでは、顧客の期待とずれた商品やサービスになったり、お客様のニーズとズレる提案や施策をしてしまったりと、売上やブランドの信頼を損なうこともあります。
顧客目線を取り入れれば、実際のニーズに近づき、より顧客に魅力が伝わりやすく、受け入れられる商品作りや提案ができるようになるのです。
また、顧客目線を持つと、「こんな人たちが!?」と想定していた層とは違ったお客様が商品を利用しているなど、これまで気づかなかった需要を発見できることも。
「こんな欠点があったなんて...」「意外に理解してもらえてないかも!?」など、商品・サービスそのものや、それらの集客方法などを見直すきっかけにもなったりするんですよね。
こうした発見は顧客目線ならではで、長く・多くの人から選ばれる商品やサービス作りに不可欠だと思うんです。
「顧客目線」と「お客様の声」の違い
「顧客目線」と「お客様の声」はよく混同されがちですが、異なるものです。
お客様の声は顧客が直接表現した感想や評価で、言葉にできる意見が中心です。
しかし、顧客が気づいていない不満や潜在的なニーズは含まれていません。
一方、顧客目線は顧客の隠れたニーズや期待を掘り下げ、自社の商品やサービスを客観的に評価する視点です。
顧客自身がまだ言語化していない本質的な要求を把握することで、より効果的な改善やマーケティングができます。
「顧客目線」と「企業目線」の違い
企業の立場では、売上や利益、効率など自社の目標が優先されることも多く、その結果、顧客の本当のニーズが見落とされることがあります。
例えば、企業が強調したい機能を詰め込みすぎて使いにくくなったり、価格が利益重視で顧客の価値感と合わなかったりします。
また、宣伝も自社中心で顧客の視点が薄れがちです。
一方、顧客の立場に立つことで、求められる価値に応えた商品やサービスを作りやすくなり、顧客にその魅力が伝わる宣伝もできるようになります。
例としてお話しすると、「今が買いどき」って言葉、よく聞きますよね。
僕は毎日聞いてる気がします。
業界とか企業が、モノを売りたいときに使う常套句。
車や住宅などの高額商品の場合、国の制度・政策などを「買いどき」の理由として挙げて集客に使われることがありますね。。
例えば住宅なら、住宅ローン減税や、政府や自治体の補助金制度。
確かに高額商品を購入する場合に大きく影響がありますが、お客様からすると何だかよくわからない...。
「物価が上がる前の今がおすすめだよ!」「住宅支援制度があるから今がおすすめだよ!」という文句でお客様に伝わるか?といえば、実際には伝わらないんですよね。
「ウッドショックって何?」「住宅取得支援制度ってどんなの?」ってところから、もう先に進まないのです。
実際、うちのカミサンは、僕が住宅の仕事してたって説明できなくて...。
顧客目線に立って「僕たちが常識だって思ってたこと、もしかしてお客様にとっては違ったかも!?」って考えることも必要です。
マーケティングに生かす!顧客目線を得るための方法
では、顧客の立場に立ったマーケティングを行うにはどうしたら良いのでしょうか?
顧客目線を得るためのポイントについて見ていきましょう。
ペルソナ設計・カスタマージャーニー作成をする
顧客目線のマーケティングを進めるためには、まず顧客理解を深めることが欠かせません。
そのための基本的な手法として、「ペルソナ設計」と「カスタマージャーニーの作成」があります。
ペルソナ設計とは?
ペルソナとは、マーケティングや製品開発、サービス設計などにおいて、ターゲットとなる理想の顧客像を、あたかも実在する人物かのように具体的に描写した架空の人物像のこと。
ペルソナ設計では、自社の商品やサービスを利用する顧客像をできる限り具体的に描き出します。
単なるデータ(年齢、性別など)の羅列ではなく、その人の「人生」や「背景」まで掘り下げて設定します。
顧客がどのような状況で商品を利用するか、どんな活用方法が考えられるかまで想定することで、潜在的なニーズを可視化できます。
カスタマージャーニーの作成とは?
カスタマージャーニーは、顧客が特定の製品やサービスを「認知」してから、「購入」「利用」、そしてその後の「再購入」や「紹介」に至るまでのプロセス、つまり「顧客の体験の旅そのもの」を指します。
それを具体的なシートや図、グラフなどの形式で「可視化したもの」がカスタマージャーニーマップというわけです。
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客がサービスや商品に接する各段階(タッチポイント)ごとに、どのような体験や心理があるかを整理できます。
こうした一連の流れを顧客の視点でとらえ直すことで、より顧客にマッチした企画や提案が見えてくるでしょう。
ペルソナは「顧客の解像度」を高め、カスタマージャーニーマップは「顧客体験の地図」を作ること。
「誰のために、どのような旅路を、どのように改善していくか」という全体像を明確に把握し、ビジネスを成功に導くための羅針盤を得られると言えるでしょう。
インサイトを掘り起こす
本当に刺さる企画・提案をするには、「本人も気づいていないニーズ(=インサイト)」に迫る必要があります。
例えば、「毎日同じカフェに通う」という行動の裏には、「安心できる場所が欲しい」という感情があるかもしれませんよね。
こうした無意識の動機をつかむには、定量データだけじゃなくて、行動観察やヒアリングなどの定性情報が鍵になります。
また、バラバラな顧客データ(会員情報・購買履歴・アクセス履歴など)を統合して分析することで、一人ひとりのニーズやタイミングをより高い精度で考えられるようになります。
顧客の声を数値化する
顧客満足度のその先にある「ブランドへの信頼」や「継続的な利用意向」を把握するために有効なのが、NPS®(ネットプロモータースコア)です。
NPS®は「Net Promoter Score」の略称で、商品やサービスに対する顧客の信頼や愛着といったロイヤルティを数値で示す評価指標です。
「あなたはこの商品を友人に勧めたいですか?」というシンプルな質問を軸に、ロイヤルティの高いファン層を特定し、その声を反映することで、口コミの増加や紹介などにもつなげられます。
顧客目線を生かしたマーケティング事例
住宅会社であるジョンソンホームズの事例をご紹介します。
顧客目線の発信のきっかけとなった社内の驚きの事実!
2016年の出来事です。
ジョンソンホームズの社員たちが、この時期に続々とマイホームを建てていたのです!
最初は2016年の6月頃、入社して3カ月くらいのスタッフが家を建てると聞いたのがきっかけ。
「え?支払いとか大丈夫?」って心配になるじゃないですか。
でも「家を買いたいし、買うなら今だし」と聞いて、確かに低金利だもんな~って思っていました。
(※2016年は日本で初めて「マイナス金利」が導入されてから、住宅ローンの金利が過去最低を更新した年でした。)
しかも、同じブランドの他のスタッフも家を建てるらしい、と。
そんなこんなで毎月、社員が家を建てていることが分かったんです。
その数は、なんとジョンソンホームズの20~30代の社員29人のうち、約7割にあたる21人!
CMや広告で「家を建てるなら今」なんてよく言われているけど、実際に社員の新築ラッシュを知り、これは集客の切り口として使える!と思いました。
だって住宅のプロである自分たちが、実際に買う立場(顧客の立場)になって考えて「建てどき」だと思って建てているんだから。
プロが買うってことは、本当にお買い得なんですよ。
こういう事実を、お客様に対して発信しない手はありませんよね?
他の仕事に例えると「漁師さんたちが本当においしいと知っている魚は自分たちで食べる」というようなもの。
その道のプロが、他の人(お客様)を差し置いても食べたいものは、やっぱり良いモノなんですよ。
「何で今家を建てる人が多いの?」という問いには、売る立場からの回答よりも、家を建てる立場からの回答のほうが、わかりやすくて信じやすい。
そして、やっぱり響くんです。
ネタは身近なところに!商売の仕方を「顧客目線」で考える
当社の場合、「顧客」となった社員の実例も用いながら、これから家購入を検討しているお客様を対象としたセミナーを開催したりしました。
毎回思っていることですが、お客様に伝える前にまずは一度、自分が一消費者・顧客の気持ちになって考えてみましょう。
自分自身に「本当に今が買いどきなの?」ってわかりやすく聞いてみる。
そうして出てきた答えをお客様に発信できれば、イメージが伝わりやすいはずです。
消費者の気持ちについては、下記コラムも参考にしてみてください。
切り口がわかったら集客方法について考えよう!
集客の方法としては大きく「オフライン集客」と「オンライン集客」の2種類があります。
オフライン集客:ポスティング、DM、折り込みチラシ、CMなどの紙媒体やマスメディアによる集客
オンライン集客:WEBサイト、SNS、WEB広告など、インターネットを活用した集客
ネット社会の現代、オンライン集客に力を入れたほうが良いのでは?と思われがちですが、まだまだチラシやDMなどの紙媒体も有効なことがわかっています。
特に住宅会社やハウスメーカーの場合、実は「WEB媒体も紙媒体も見ている」お客様が多いというのが現状です。
チラシやDMにWEBサイトへと誘導する文言を入れたり、QRコードを入れたりして、オフライン・オンライン両方をうまく連動させましょう。
チラシやDMなどの紙媒体に比べ、詳細で最新の情報を掲載できるのがWEB媒体の強みなので、チラシやDMには「最新情報はWEBを見てね!」といった案内を載せるのも有効です。
紙媒体とWEBとの連動については「モデルハウスの集客方法はチラシとDMがカギ!」で詳しくお話しています。
顧客目線のマーケティングがお客様の心を動かす
顧客目線とは、売り手ではなく顧客の立場で考え、本質的なニーズに応えることです。
顧客目線は顧客自身も気付いていない潜在ニーズを掘り起こし、企業目線による利益重視や効率優先の視点から脱却して、顧客満足や信頼の向上を目指します。
マーケティングにはペルソナ設計やカスタマージャーニー作成、インサイト分析、NPS®による顧客ロイヤルティ測定が効果的です。
実例として、ジョンソンホームズの社員が低金利を背景に多くマイホームを購入した事実を顧客目線の情報として発信し、信頼感と集客につなげました。
身近な事実を顧客の視点で伝えることが、持続的なビジネス成功の鍵となるのです。
経営のヒントを知りたいという方は、ぜひ一度ジョンソンパートナーズへご相談ください。
ジョンソンパートナーズでは、自社直営店で培ったノウハウを基に、全国のフランチャイズ加盟店様へ営業育成に関するアドバイスも行なっております。
私たちは、住宅フランチャイズサービスを通して全国の工務店様の経営を支援いたします。
この記事を書いた人

中原 一士
株式会社ジョンソンホームズ 営業統括本部 部長
新築部門、マンション・戸建リフォーム部門など、ジョンソンホームズのマーケティング全般を担う。「COZY」や「イエピタ」「M+」など、多様な価値感のお客様に応える新規事業を立ち上げながら、スタッフがイキイキと活躍出来る場を増やしている。