自分がお客ならこうしてほしい!車を買って分かった消費者心理

売れる仕組み / マーケティング
2018年01月12日 by 中原 一士

目次

こんにちは。マーケティング担当の中原です。

今回は、僕が自家用車を買い替えた経験をもとに、「初回接客とその後のフォロー」のツボについてお話しします。
自分自身が消費者として、高級腕時計や宝石、結婚式など、大きな買い物をした時の気持ちは、お客様の心理を理解し、住宅営業を見直すヒントになるはずです。

買いたい気持ちは、ある日突然わき起こる!?

実は1年前、駐車場で接触事故を起こしてしまいました。自転車が後ろの死角から飛び出してきて、避けきれなかったんです。
幸い相手に大きなケガはなかったんですが、この時から妻が車の安全性能を気にするようになりまして。

とある僕が仕事が休みの水曜日、突然、妻が「車を買い替えに行こう」と言い出したんです。僕自身は車を買う気が全くなかったのですが。妻は以前から、CMで見たスバルの運転支援システム「アイサイト」に興味を持っていました。
しかし、スバルのホームページを見ると、ショールームは水曜が休みだったので、前からお付き合いがあった他メーカーへ行くことにしました。
しかし、その日は担当の人が公休日で。

ひとまず、ショールームを見させてもらいましたが、車を買う気がなかった僕も、一度ショールームの門をくぐると、他の車も見たくなり、次第に買いたい気持ちが高まってきました。

「他の会社の車を買ったら、お世話になってきた担当の人に申し訳ないな...」と思っていましたが、不在だったのだから、一応他社も見に行ってもいいかなと。

次のショールームは、行けなかったスバルを含めると3社目。気持ちに余裕が出てきました。
僕はそこの車もいいなと思いましたが、妻から見ると安全性能が物足りなかったようで、さらに4件目の会社へと向かいました。

心変わりが激しい消費者。営業側がフォローしないと、気持ちが離れていく

移動しながら妻の話を聞いて、4件目では、安全性能が優れた高級輸入車を見に行きました。「ご自由にご覧下さい」と付かず離れずの接客は、さすが高級店と思いましたね。

でも、僕がいいなと思ったSUVは800万円以上したんです。
それだけ高いお金を払う価値があるかどうか、営業担当の方にもっと説明してほしかったなと思いましたが、妻は金額以外は納得したので、その車をもっと安く購入できるのなら、という思いが新たに生まれ、今度は中古車のディーラーへ。

そこでは営業担当の方から安全性能の話をしっかり聞けて、夫婦で価値観の擦り合わせができました。目当ての高級輸入車が新古車で出たら連絡してもらうことにして、気分が盛り上がったまま帰宅したんです。


その日は「(中古車)ディーラーさん、早く電話ちょうだい。早く電話くれないと、うちはもともと妻が見たかったスバルの「アイサイト」へ流れちゃうよ」と思いながら連絡を待っていました。
でも、消費者の気持ちって、本当にすぐに変わるんですね。その後、何の連絡もなく、冷静になってからまた妻と話していたら、やっぱりあの車は高過ぎるんじゃないかということになりまして。

逆に、僕自身は高級車にはあまり興味がなくて、むしろショールームも定休日だったスバルの車が、ものすごく気になってきたんです。

この手に入らないと余計に欲しくなる気持ち、分かります?

妻の気持ちに寄り添い、ニーズに合った営業説明が決め手

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最終的には、スバルの車を買いました。それも、車を探し始めてから2日目に。若い女性の営業担当の方が、妻の気持ちに添ったアドバイスをしてくれたのが決め手になりましたね。

買う側としては、車のトラブルは、大ケガさえしなければいいわけじゃなく、金銭的な負担もありますし、家計を預かる女性としては、もやもやしますよね。
妻が安全性能にこだわる心理を理解し、営業さんがそのもやもやを理解して、不安や不満と結び付けた説明をしてくれたことが重要なポイントでした。

何社も回っている間、ある会社では車庫入れのしやすさを、また別の会社では前方の障害物を検知できる機能やデザインをアピールされました。でも、それはメーカー側の得意分野であって、わが家のニーズとは違いました。

「後方の死角から自転車がぶつかってきて大変だった」と言っているユーザーに、その人の困りごとと関係のない機能を説明しても、心に響かないんですよね。

住宅の営業も同じ。心に寄り添う対応を

例えば、これから家を建てようとしているお客様に、今の住まいの気になる点を聞いたら、「玄関が寒い」と答えたとします。
実際には玄関の寒さそのものより、暖房で室内の空気が乾燥することや、高い光熱費が不満なのかもしれません。

ただ住宅の性能を伝えるより、「玄関からすきま風が入らなくなれば、暖房を抑えられます。
空気が乾燥しにくくなるし、光熱費も下げられますよ」と話した方が、お客様は安心しますよね? ニーズに隠れた不満を探って、その方にとって最適なご提案をしていきましょう。
ちなみに車を買った数日後、立ち寄ったショールーム数社から、セールの案内や安全性能の解説DVDが届きました。
訪問時に詳しい商品カタログをもらってるのに、今さら似たような資料を送られたって読まないし、遅過ぎるなと思ったのが正直な気持ちです。

大きな買い物をする時の消費者は、家族であれがいいこれがいいって話し合う中で加速度的に気持ちが変わっていくでしょう。
そして、興味の対象も購買欲もどんどん変わります。
ガツガツ行き過ぎる営業はダメですが、ゆっくり過ぎるのもダメ。早め早めのフォローが必要です。

買い物で気付いた10のポイント

  1. ブランド力は大きな強みです。日頃からお手紙などで接触を持ち、お客様に覚えてもらわなければ、買い物の候補に入ることもできません。

  2. 既存のお得意様とのつながりを大切に。知り合いでも断ることはありますが、関係性のある人を最初から候補に入れもしないということはありません。

  3. 来店されたお客様は、なじみのない会社を訪れることにも抵抗がなくなっています。悪気なく他社へ浮気される可能性もあるので、油断は禁物です。

  4. どれだけいい製品でも、説明しないとお客様に価値は伝わりません。すました接客より、お客様に打ち解けていただいて、コミュニケーションを図りましょう。

  5. ご夫婦でいらしたお客様は、奥様のお気持ちを汲み取ることがポイント。

  6. それぞれのお客様にとって、本当に必要な情報を提供しましょう。その人自身にとって不要な説明は、聞き流されてしまいます。

  7. お客様の価値観は、ご夫婦で話し合ううちにどんどん変わり続けます。気持ちは常に揺れ動き、お会いして話した日と次の日では考えが違っていることもあるので、早めの確認が必要です。

  8. お客様はなぜ買いたいのか? ニーズの背景を知って、ひとつひとつ自社の製品の特徴と関連付けましょう。

  9. 見学にいらしたお客様には、その日のうちにフォローの連絡を。お客様の気持ちが他社になびかないうちに、気にかけていることをアピールしましょう。

  10. お客様との「仲間感」を打ち出すのも有効です。スバルでは熱心なファンを『スバリスト』と呼ぶと聞き、それが購入後の決め台詞になりました。

まとめ

初回接客は共感力がポイントです。お客様の悩み事は何かをしっかり探り、一人一人の気持ちに寄り添ったご提案に努めましょう。住宅性能や価格などのトータルな説明だけでは、相手の心に響きません。

大きな買い物をする時のユーザーの気持ちは、時間が経つにつれて急激に変わっていきます。初回接客の後は、その日のうちに一度フォローを。万人向けの御礼の手紙や資料を送るより、個別のニーズに合う情報を伝えましょう。

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