#経営戦略
新築市場でどう戦う?地域ビルダーのこれからの戦略とは

目次
こんにちは。ジョンソンホームズ常務取締役の川田です。
前回、「今の時代に必要とされる住宅フランチャイズ戦略 ― 工務店の未来を変えるジョンソンパートナーズの挑戦」について書きました。
私は、これからの時代に住宅会社が取るべき成長戦略は4つあると考えています。
今回はその中のひとつ、『新築事業で受注棟数を落とさず、仕組みで成長していく戦略』について掘り下げてお話しします。
もちろん、これはあくまで私自身の考え方です。
地域や会社によって状況は異なりますので、すべての住宅会社に当てはまる万能の戦略ではありません。
「ジョンソンホームズではこう考えている」といった視点で参考にしていただければと思いますので、ご承知おきください。
市場はどう変わっているのか
今の市場を整理すると、
① 少子高齢化&人口減少で住宅市場の縮小が本格化している
② 住宅価格が高騰してしまい買える人自体が少なくなっている
③ 住宅会社は大手企業の進出や地域トップビルダーがさらに強くなって競争が激化している
この三つの要因が重なり、住宅市場は明らかに縮小局面に入っています。
着工棟数は右肩下がりで、家を建てたいと思っても予算が合わない層が増え、その限られた顧客を大手や地域の上位ビルダーが一気に取り込んでいく。
結果、エリアで成長できているのは上位1〜2社に限られ、それ以外の会社は棟数を落としているのが現状です。
今後、この差はさらに広がっていくと考えています。
外部要因だけではありません。社内にも厳しい現実があります。
④ 人材難・採用難で人が採用しづらい環境
⑤ スカウトや転職ハードルが下がったことで、人材の流出も起きている状況
⑥ 働き方改革や働きやすい職場環境も整えなければならない社会からの要請も年々強くなっている
「人が採れない」「採用しても続かない」「働き方改革への対応もしなければならない」。
市場が縮小している中で、内部の体制も揺らいでいる。
つまり外からは「市場縮小」「価格高騰」「競合激化」。
内からは「人材難」「流出」「働き方改革」。
両側から挟まれているのが今の地域工務店の現実です。
こうした重圧の中で、ここ数年棟数を落とし続けている地域の住宅会社が、戦って勝ち残り、さらに成長するのは容易なことではありません。
なすすべがないように思えるかもしれません。
実際、いま多くの住宅会社が打ち出している訴求は「性能」か「デザイン」。
集客のきっかけも、最終的なお客様の判断軸も、ほとんどがそこに偏っていて、どの会社も似たようなことを言っています。
私は、まさにここに突破口があると考えています。
性能やデザイン一辺倒の土俵から抜け出し、違う切り口でお客様の心をつかむことができれば、厳しい環境下でも地域の住宅会社が勝ち残り、さらに成長する戦略が描けるのではないか。
これが、「新築事業で受注棟数を落とさず、仕組みで成長していく戦略」のポイントです。
理想の状態を定義する
実現可能性は別にして、理想的な状態をあえて定義すると、
「圧倒的に顧客の興味をひいて、集客が多く、契約率も高く、誰でも売れて、契約後の工数も抑えられていて、利益率が高く、経費率が低い」―つまり高収益を実現できる状態です。
「そんな会社があるのか」と思われるような内容ですが、もしもこれが実現できたら、この厳しい時代でも十分に勝ち残り、成長できるはずです。
都合が良すぎて実現不可能に思えるかもしれません。
しかし、その突破口は「際立ったコンセプト」で暮らし方を訴求することにあります。
強烈なコンセプトを核に据えることで、理想の状態がすべて連動して実現できる――私はそう考えています。
際立ったコンセプトがすべてを変える
万人受けを狙うのではなく、一部の人に強く刺さる「際立ったコンセプト」を確立すること。
性能やデザインのように広すぎて、結局多くの会社が競合になってしまう土俵から抜け出し、ニッチであっても圧倒的に支持される世界観で勝負する。
体制はコンセプトに従属します。
強烈なコンセプトを掲げれば、集客、契約率(競合優位)、誰でも売れる仕組み、契約後の工数削減、利益率改善、経費率低減――これらがすべて連動して改善されていくでしょう。
逆に言えば、部分的な改善だけでは一貫性がなく、効果は限定的になってしまいます。
コンセプトを核とした一貫性で理想の状態全てを実現することが、「新築事業で受注棟数を落とさず、仕組みで成長していく戦略」です。
次回は、この「コンセプトを核とした一貫性」がどのように理想の形をつくっていくのかを、
ジョンソンパートナーズで今年スタートした【スノーピーク×アーバンアウトドアハウス】の事例を通して具体的にお話しします。
この記事を書いた人
川田 新平
株式会社ジョンソンホームズ 常務取締役
ヤマチユナイテッドグループ 常務取締役
企業ビジョンの明文化、共有・浸透を図ると同時に、社員の主体性を引き出して活かす組織風土を構築。自社を新たな成長軌道に乗せると共に、「グレートカンパニー」へと導く。