#組織
部下が育たないときはどうする?上司や組織が取り組むべきこと

こんにちは。ジョンソンホームズ金子です。
「部下が使えない、育たない」というのは、世の中の「上司」が飲み屋でこぼす悩みの定番ではないでしょうか。
しかし、それは結局のところ「部下の育成という仕事をしていない」ということでしかありません。
世間には未経験者を集めてあっという間に戦力化し成果を挙げる上司も存在します。
そんな上司は何をしているのでしょうか。
今回は、部下が育たないとお悩みの方に向けて、育成ポイントや対処法、上司の心構えなどをご紹介します。
部下が育たないときはどう対処する?
部下が育たない原因はさまざまで、本人のやる気不足だったり、やる気はあっても努力が結果に結びつかないこともあります。
「部下が育たない」と感じたときに試してほしい対処法をご紹介します。
1on1ミーティングを設ける
上司と部下が1対1でじっくり話し合う1on1ミーティングは、評価や進捗確認の場ではなく、部下の成長を後押しするための時間として大切にすべきです。
上司が情報を集めたり状況を把握するためではなく、部下が安心して話し、自分なりの気づきを得られるように支えることが目的です。
そのためには、「上司のほうが知らないこともある」という前提で、部下の立場に寄り添いながら、しっかり耳を傾ける姿勢が大切。
面談を終えたときに部下が「話せて良かった」と思えたなら、その時間は十分に意味のあるものになったと言えます。
部下を認めて信頼関係を築く
部下との信頼関係を深めるためには、日々のコミュニケーションを通じて、部下の頑張りや成果をきちんと認めましょう。
上司が部下の努力に感謝し、きちんと言葉にして褒めることは、部下にとって小さな成功体験になります。
そうすることで部下は自分の仕事に誇りと責任感を持つことができ、自然と積極的に動こうとします。
こうした積み重ねが信頼を育み、結果的に職場のパフォーマンス向上にもつながるのです。
逆に、部下を認めないでいると、部下のモチベーションが下がり、成長の機会を逃してしまうこともあります。
フィードバックする
仕事の成果だけでなく、その過程での気づきを伝えることも大切です。
すぐにフィードバックを行うことで、部下が受け止めやすくなり、良かったことは自信につながり、悪かったことは改善へ向けての行動が起こしやすくなります。
また、部下はすぐにフィードバックを受けることで「自分のことを見てくれている」と思え、安心して仕事に取り組めるようになります。
もし問題が起こった場合もすぐに解決しやすくなるので、組織全体としてもメリットが大きいです。
目標を設定して成長イメージを共有する
部下と共通の目標や将来像をしっかり共有し、それに基づいて具体的な行動計画を立てることが重要です。
そうすることで仕事の意味や方向性を理解しやすくなり、自発的に仕事に取り組みやすくなります。
また、部下の成長を促すには、具体的で達成可能な目標設定が重要。
目標が明確であれば、部下も日々の業務の目的を意識しやすくなります。
部下一人ひとりに応じた柔軟な育成を行う
部下の成長を支援するために大切なのは、まず部下自身をよく知ることです。
日々のやりとりや行動から、部下がどんな強みを持ち、どこに苦手意識があるのかを丁寧に見ていきましょう。
上司自身の考えや経験を基準にするだけでは、効果的な指導につながらない場面もあります。
画一的な方法を押し付けるのではなく、部下の個性や状況に応じて接し方を柔軟に変えていくことが、部下の可能性を引き出す鍵となります。
相手をよく理解し、背景や考えを尊重しながら、部下に合った育成のスタイルを選びましょう。
そんなきめ細かな対応が、信頼関係の土台を築き、成長を後押しする環境づくりにつながります。
現在のメイン業務で成果を挙げられる機会を増やす
「すでにある程度成功パターンがわかっている現在のメイン業務で成果を挙げる」ことが部下の自信になり、成長へとつながります。
成功しやすいタスクを任せることで、部下は「自分にもできる」という実感を得やすくなります。 この小さな成功体験の積み重ねが、次第に自信を育て、より主体的に業務へ取り組む姿勢を引き出します。 だからこそ、実務はどんどん部下に任せるべき。
そして、そのプロセスが全体としてうまく回るように調整し助言をすることが上司の役割です。
部下が育たないときの上司の心構え
実のところ、「任せる」ことができない上司は、心の底では「任せたくない」と思っているケースも少なくありません。
部下が成長し仕事ができるようになってしまったら、自分の存在価値が薄れてしまう......実はそんな恐怖心が心のどこかに存在するからこそ任せることができないというタイプです。
うっかり「今時の若いのは」と口に出しそうになったときには、そうなっていないか振り返ってみてはいかがでしょうか。
ここでは、部下を育てるための上司の心構えについて見ていきましょう。
相談しやすい雰囲気をつくる
上司は、部下が気軽に話しかけられるような柔らかい態度を意識することが大切です。
忙しいときでもイライラを顔や態度に出さず、笑顔や適度な相づちで部下の話に耳を傾けることで、信頼関係を築きやすくなります。
信頼関係なくして部下は上司に心を開いてくれませんし、どんなに素晴らしいアドバイスでも「100%聞き入れよう!」とは思ってくれません。
フィードバックや目標設定など、部下を育てるための方法はご紹介したとおりですが、それらを十分生かすためには、部下が安心して意見や悩みを共有できる関係性を築くことが大前提です。
感情のコントロールを心がける
感情的な態度や高圧的な接し方は、部下に恐怖心を与え、指示待ちの姿勢を強めてしまいます。
パワーハラスメントと捉えられてしまう恐れもあるため注意が必要です。 冷静で落ち着いた対応を心がけましょう。
部下を注意するときは、感情的に叱るのではなく、なぜ問題なのかをはっきり伝えることが重要!
理由が明確であれば、部下も改善点を理解しやすくなります。
また、問題点を見つけたら、その都度指摘するようにしましょう。
とくに仕事を始めたばかりの部下は自信を持てないことが多いため、適切なタイミングでのフィードバックが不安を軽くし、正しい仕事の習得に役立ちます。
考えや行動に一貫性を持つ
そして大切なのは、考えや行動には一貫性を持つことです。
「前に言われたことと違う」という状況は、部下が判断に迷う原因になるばかりでなく、上司への信頼を損なうことにもつながります。
「いつも言うことが違うから話を聞いても無駄」と思われてしまったら、当然、指導の効果は薄れてしまいます。
根気強く指導を続ける
部下の成長は一朝一夕で実現するものではありません。
価値観や考え方の違いに直面しても諦めず、粘り強く指導を続ける姿勢が求められます。
こうした継続的な関わりを通じて、部下との信頼関係が深まり、主体的に仕事に取り組む力が育まれていきま
部下が育たない環境を防ぐために組織が取り組むべきこと
部下の成長を促すためには、個々の努力や能力に任せきるのではなく、組織としても計画的に支援する仕組みが必要です。
育成計画を作成する
部下の成長を促すには、行き当たりばったりではなく、あらかじめ方向性を定めた育成計画が欠かせません。
そのためには、まず上司自身が育成に必要なスキルを備えていること、そして部下の得意なことや課題、業務理解の度合いなどをきちんと把握していることが前提です。
さらに、計画には企業のビジョンや中長期的な人材像を反映させることが大切です。
何をどのように育てたいのか、その指針があることで、育成の軸がぶれず、現場でも迷わず支援しやすくなります。
属人化しない「育成の仕組み」を整える
人材育成を特定の上司の熱意や能力に頼りきっていると、成果にばらつきが出てしまいます。
そこで大切なのが、「誰が担当しても一定の質を保てる仕組みづくり」です。
例えば、育成ガイドや初任者用の成長シート、進捗を確認する定期面談の制度などを整えることで、部署や上司が変わっても一貫した支援ができます。
こうした育成の標準化は、現場の上司にとっても「どう関われば良いか」が明確になるメリットがあります。
「聞ける・試せる」空気を職場に根づかせる
制度や計画がどれほど整っていても、職場に「話しかけにくい」「ミスを責められる」といった空気があると、部下は学ぶ姿勢を持ちにくくなります。
特に若手世代は、安心して質問や相談ができる環境を強く求めています。
失敗や試行錯誤を歓迎する姿勢を、上司やチーム全体で示していくことが重要です。
日々の1on1ミーティングや振り返りの場を通じて、部下の気持ちを引き出すことで、「育つ職場の文化」は少しずつ形になっていくものです。
未来の仕事をつくる
今はまだ形になっていない「未来の仕事」を作ることも重要です。
新しい客層の開拓・新しい商品の開発・新しいプロセスの設計等、「未来の仕事」にもさまざまなものがあります。
未来の仕事は、新たなチャレンジの場にもなります。
育成の「舞台」を用意しておくことも、組織として必要なことです。
その未来の仕事を見つけ出すために、ありとあらゆる手を打つのがもうひとつの「上司の仕事」と言えます。
部下に仕事を任せるために必要な「育成ポイント4つ」
リクルートの関連会社で営業アウトソーシング事業の責任者を経て、現在は営業チームづくりのコンサルタントとして独立している庄司充氏。
営業未経験で簡単なアルバイトしかしたことがないような職歴の若者を雇っては、短期間で即戦力の営業マンとして戦力化する実績を挙げ続けてきた方です。
庄司氏によると、部下に仕事を「任せる」ことができるようになるためのポイントは大まかに4つのステップがあります。
①仕事内容の切り分け
「任せたから後は成果を出せ」とプレッシャーを与えて部下に仕事を丸投げし、成果が出なかったときは「今時の若いのは使えない」と愚痴をこぼすだけでは、一生「任せられる」ようにはなりません。
成果を挙げるまでに必要な一連の仕事を複数のプロセスに切り分けることがまず必要で、例えば営業系の仕事であれば「アポ取り」「ヒアリング」「提案」などに分解します。
②体系的教育
切り分けたら、全体としての流れを踏まえて個々のプロセスの「目的」と「するべきこと」を教えます。
教えるためには上司が仕事を把握していなければなりません。
把握していれば、部下の進め方に対する改善も提案できるので、これは重要なことと言えます。
③モニタリング(レビュー)
きちんと教えたとしても、実行したときにその通りにうまくいくとは限りません。
例えばアポ取りのための電話営業で5%のアポ獲得率がある計算を立てていたのに、実際やってみたら1%しかなかったというような場合。
見込み客リストがターゲットを外しているか、話の組み立て方が悪いか、トークが下手か、どこかに問題があるはずです。
対処するためには、まず問題の存在に気がつかなければなりません。
気がつくためには、その進行状況を上司と部下との間で労力をかけずに共有できる仕組みを作って「モニタリング」する必要があります。
成績が下がっている場合はどこかに問題があるので、それを見極めて解決するのは上司の仕事です。
④助言・調整
例えば、営業で成果が挙がらない原因が「トークが下手」だった場合。
個人の責任として突き放すのはNGです。
個人の責任として突き放すと一部の部下に過重な負担がかかり、それが仕事の質の低下につながります。
結果、顧客満足度を下げることにもなりかねません。
上司自身が助言を行う、トークが上手な社員に指導役になってもらうなど、問題解決に向けた改善を行います。
その上で、目標設定がまだその部下にとって高いようであれば、調整をしていくことも大切です。
この4つのポイントを実践すれば部下に仕事を任せられるようになります。
そして部下は自分ができる範囲から少しずつチームに貢献して自信をつけながら、仕事の範囲を広げ成長していくことができる、これが庄司氏による人材育成のポイントです。
とはいえ、「このステップに沿って実践していけばどんな部下でも絶対に育っていく!」というわけではないのが人材育成の難しいところ。
個々の特性を見ながらさまざまな対処法を試し、自分自身の考え方も日々アップデートしていく必要があります。
それだけに、人材育成は奥深く、おもしろくてやりがいのある仕事だとも感じます。
▼仕事の任せ方を解説!仕事を任せるメリットと事例も紹介
https://www.johnsonhome.biz/info/contrivance/How-to-leave-the-work.html
【まとめ】部下が育たないときは上司の姿勢と組織の仕組みづくりが重要
部下を育てるには、単に仕事を任せるだけでなく、信頼関係を築きながら一人ひとりの個性に応じた関わりが必要です。
「なんで部下がうまく成長しないんだ…」と悩むときは、1on1ミーティングを設けて部下の話に耳を傾け、気づきや成長を引き出すことも実践できる取り組みの一つ。
また、努力や成果は言葉にして伝えることで、部下のやる気と自信につながります。
そして、目標を共有し、達成に向けた具体的な行動を明確にすることで、自発的な行動も促せます。
上司自身が感情的にならず、一貫した対応を心がけるようにすることも部下の成長には大切です。
また、上司個人の対策だけではなく、職場全体として、安心して挑戦できる雰囲気づくりや、誰が育成しても成果が出せる仕組みの整備も必要です。
育成には、ある程度「型」となるものも存在します。
その基本を守りつつも、部下それぞれの特性にあわせて対処していくことが大切です。
部下と一緒に、上司としての自分自身も成長させていくことができる人が「部下を成長させられる上司」になるのかもしれません。
経営のヒントを知りたいという方は、ぜひ一度ジョンソンパートナーズへご相談ください。
ジョンソンパートナーズでは、自社直営店で培ったノウハウを基に、全国のフランチャイズ加盟店様へ営業育成に関するアドバイスも行なっております。
私たちは、住宅フランチャイズサービスを通して全国の工務店様の経営を支援いたします。
この記事を書いた人
金子 祐介
株式会社ジョンソンホームズ 戦略室
輸入住宅の営業マン、チームリーダー、新規事業の立ち上げを経て、2014年よりフランチャイズ事業部へ。営業やマーケティング支援に留まらず、社内風土改革や人材育成など、あらゆる問題の解決を支援。