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リードナーチャリングの事例を紹介!導入ステップと成功のポイントも

リードナーチャリングの事例を紹介!導入ステップと成功のポイントも

こんにちは。ジョンソンホームズ小松です。

リードナーチャリングとは、新規の見込み客が管理客へ、管理客が成約客へとランクアップしていくこと。
しかし、見込み客にやみくもにアプローチしても、効果は期待できません。

今回は、リードナーチャリングとは何かということから、導入の流れ、成功のポイントとともに、ジョンソンホームズの事例もご紹介します。

リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、見込み顧客(リード)に対して段階的にアプローチし、興味や購買意欲を高めて成約につなげるマーケティング手法のこと。
リードナーチャリングは、顧客のランクアップともいえます。

単に接点を持つだけでなく、有益な情報を継続的に届けることで、成約や商談につながる関係性へと「格上げ=ランクアップ」していく、マーケティングの要となる手法です。

BtoBマーケティングでは、見込み顧客との関係構築は以下の3つのステップで構成されます。

①リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)
Web広告や資料請求、イベントなどを通じて関心層を集めるフェーズ

②リードナーチャリング(興味関心の育成)
メルマガ、コンテンツ、セミナーなどを通じて継続的な情報提供を行い、検討意欲を高めるフェーズ

③リードクオリフィケーション(確度の高い層の抽出)
行動データやスコアリングをもとに、購入意欲が高まったリードを選別し、営業活動へとつなげる段階

この3つの工程を戦略的に設計することで、営業の効率化と成果の最大化が期待されます。

なぜ今、リードナーチャリングが重要なのか

ここからは、リードナーチャリングが注目されている理由を具体的に見ていきましょう。

購買行動の変化
現代の消費者・企業の購買行動は、営業からの提案ではなく、自ら情報を収集して判断する「自己完結型」へとシフトしています。
ネット検索や比較サイト、口コミなどによって、営業担当と接触する前に製品理解を深める人が増えているため、従来のセールス主導のやり方では購買までたどり着きにくくなっているのです。

検討期間の長期化
たくさんの情報が手に入るようになった今、競合他社の比較も簡単に行えるため、購入や契約までにより多くの時間を要するようになってきました。
この検討期間中に、自社の商品やサービスに興味を持ってくれた顧客に対して何のアプローチもできないと、競合に乗り換えられるリスクも高まります。

獲得リードの質のばらつき
多様化する集客手段により、見込み顧客獲得の量は増えた一方で、即時成約につながる確度の高い見込み顧客は限られています。
そのため、「獲得した見込み顧客の関心度や状況に応じて柔軟に顧客を育てていく対応=ナーチャリング」が欠かせません。


リードナーチャリング導入の6ステップ

BtoBビジネスにおいて、獲得した見込み顧客と長期的に関係性を築き、購買につなげていくには、戦略的なリードナーチャリングが大切です。
ここでは、その導入ステップを6段階で紹介します。

ステップ①見込み顧客のデータを整理し、一元管理する
まず取り組むべきは、これまでに収集してきた見込み顧客の情報を見直し、社内で扱いやすい形に整えることです。

名刺データ、Webフォームの登録情報、イベント参加者リストなど、異なるソースから集まった情報は、バラバラに保管されていることも多く、活用しづらい状態になりがちです。
そのため、マーケティングオートメーション(MA)ツールなどを導入して、属性・接点・行動履歴などを一元管理できる環境を整えるのが効果的。

この土台があることで、後のステップで的確な判断とアプローチができるようになります。

ステップ②購買プロセスを可視化する(カスタマージャーニー設計)
次に、顧客が商品・サービスを認識し、興味を持ち、購入に至るまでの過程を図式化します。
これがいわゆる「カスタマージャーニーマップ」です。

顧客がどの段階でどんな課題を抱えているか、どんな情報を求めているかを洗い出しましょう。
そうすることで、そのフェーズに応じた最適なアプローチやコンテンツの設計ができます。

あらかじめペルソナを設定しておくと、より具体的かつ実用的なマップが作れますよ。

ステップ③行動や接点ごとにアプローチを分ける
見込み顧客の行動には、顧客ごとに温度差があります。
例えば、問い合わせをしてくれた見込み顧客と、資料をダウンロードしてくれた見込み顧客では、関心の深さが異なります。

そこで、問い合わせや資料請求といった接点の種類や行動履歴をもとに、見込み顧客を検討フェーズごとに分類。
そして、それぞれに応じたコミュニケーション方法を考えます。

購買に近い見込み顧客には早めの営業アプローチを行い、情報収集中の層には役立つコンテンツ提供を中心に行うなどの方法が考えられます。

ステップ④ホットリードを見極めて優先順位をつける
見込み顧客の数が増えてくると、すべて均等に対応するのは難しくなります。
そこで、行動データや属性情報をもとに、関心度の高い見込み顧客(ホットリード)を見極め、優先的にアプローチする必要があります。

MAツールなどでリードの行動に点数をつける「スコアリング」を活用すると、効率的に優先順位をつけることができます。
例えば「問い合わせ」や「セミナー参加」などの行動には高スコアを与えることで、営業リソースを有効に使えます。

ステップ⑤明確なゴール(KGI)と評価指標(KPI)を定める
リードナーチャリングを成功させるには、単に実行するだけでなく、ゴール設定と成果の可視化が不可欠です。

まずは「半年後に商談化率を◯%まで引き上げる」などのKGIを設定。
そして、そこに向けて「契約率◯%UP」「問い合わせ◯件」といったKPIを具体的に定めておきましょう。

こうすることで、PDCAを回しやすくなり、改善すべき点が明確になります。

ステップ⑥リードナーチャリングを実行・改善する
設計したアプローチやコンテンツをもとに、実際にリードナーチャリングを施策として運用していきます。
メール配信、コンテンツ提供、ウェビナーなどを継続的に実行しながら、見込み顧客の反応を観察しましょう。

重要なのは、施策をやりっぱなしにせず、効果測定と改善のサイクル(PDCA)を回すことです。
アポ率・商談化率・受注率といった定量データに加え、どのコンテンツが反応を得たのか、どのタイミングで離脱しているのかといった定性的なフィードバックもマーケティング部門と営業部門で共有しましょう。

施策の振り返りから得た学びを次のアクションに反映させることで、リードナーチャリングの精度がどんどん高まっていきます。

リードナーチャリングを成功へ導くポイント

リードナーチャリングを効果的に進め、成果につなげるためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

適切なタイミングで最適な情報を提供
見込み顧客一人ひとりの状況に合わせて、必要なタイミングで適切なコンテンツや情報を提供することが成功のカギです。

単に良い内容を用意するだけでなく、顧客が関心を持っているタイミングに合わせてアプローチしなければ、期待する反応を得られない可能性があります。
施策の効果を継続的に分析し、PDCAサイクルを回して改善を重ねましょう。

顧客情報の一元管理と社内連携の強化
顧客に関する情報は企業内で一元的に管理し、部署を越えた共有体制をつくることが大切です。
これにより、営業担当者の引き継ぎや急な対応もスムーズに行えます。

特にマーケティング部門と営業部門の連携を密にすることがポイント。
購買意欲の高まったリードを適切なタイミングで引き渡すことで、営業効率と受注率の向上が期待できます。

自社の課題に合った施策とツールの活用
リードナーチャリングの施策は、企業ごとの課題や状況に応じて実行していくことが重要です。

例えば、リード獲得後のフォローが不十分であったり、商談化率が伸び悩んでいる場合など、問題点を明確にして対応策を検討する必要があります。
ウェビナー開催やメールマーケティング、オウンドメディアの活用など多様な方法を組み合わせ、必要に応じてMAツールなども導入すると効果的です。

持続可能な体制づくり
リードナーチャリングは成果が出るまでに時間がかかります。
そのため、継続して取り組める社内体制をつくることが成功へのポイントの一つです。

インサイドセールスの設置や部署間連携の仕組みづくり、人員や費用の確保など、リソース面での計画的な整備が必要です。
場合によっては外部のマーケティング支援企業との協力なども検討し、無理なく継続できる環境をつくりましょう。

ジョンソンホームズのリードナーチャリングの事例

住宅会社であるジョンソンホームズでは、「見学会」を通して「リードナーチャリング=顧客のランクアップ」を実践しています。
今回は、「構造見学会」「オーナー様宅見学会」の事例について紹介します。

事例①「構造見学会」でお客様との信頼関係を築く
リードナーチャリングが期待できる見学会の1つが「構造見学会」です。
読んで字のごとく、構造を見せる会です。

断熱材が入ったあと、石膏ボードを貼る前くらいの完成度の家を会場にして開催します。
テーマパークや教育施設での科学実験をイメージしていただくと良いでしょう。

例えば、屋根のサンプルに水をバシャバシャかけて、音が響かないことを確かめてもらうとか、タイルをハンマーでガンガン叩いてもらって、割れないことを体験してもらうとか、いろいろな実験も行うのです。

他にも、お湯を入れたコップを使って透湿防水シートの効果を見たり、車で踏んで基礎パッキンの形状記憶力を試したり、樹脂サッシとアルミサッシのサンプルを氷水に浸けて、冷たさを比べたり...枚挙にいとまがありません。

ただ、この実験をやっても、正確には性能をアピールできません。
それでも実施するのは、お客様に「家づくりの楽しさ」を知ってほしいからです。
「なんとなく家は欲しい」と思っていたお客様に対して、より深く家づくりに興味を持ってもらう機会として、構造見学会はとても効果的な手法なのです。

建売住宅は完成品しか見られませんし、注文住宅だとしても、構造を見る機会はそれほど多くないですよね。
だからこその「構造見学会」で、自分の家が建つプロセスを擬似体験できるというのは、なかなか魅力的だと思います。

また、真摯に家づくりをしている会社として、お客様に認識していただければ、それは信頼へとつながります。

事例②「オーナー様宅見学会」でお客様に暮らしを体験してもらう
リードナーチャリングにつながる見学会は、もう1つあります。

それが「オーナー様宅見学会」。
これまた字面どおり、オーナー様の家を見学する会です。

よく聞く完成見学会(オープンハウス)と違うのは、すでに引越して生活している家を訪ねること。
暮らしを擬似体験できると言っても良いでしょう。

オーナー様との調整次第にはなりますが、見学会は、個別でも、複数のご家族がまとまって行う形式でも良いと思います。
バスツアーを組んで、数軒のオーナー様宅を巡るのも良いですね。

「完成見学会」や「構造見学会」は、スタッフが中心となって開催します。
でも、「オーナー様宅見学会」では、お客様をオーナー様と引き合わせて終わり。
ホスト役は、オーナー様です。

ブランドのコンセプトに共感して家を建てて、そこでの暮らしに満足しているため、お願いするまでもなく、家の良さをアピールしてくださいます。
実際に暮らしている人の言葉というのは、やはり説得力があるものですね。

ありがたいことに、「オーナー様宅見学会」をすると、契約までのスピードが確実に上がります。

オーナー様宅見学会のような顧客体験にはさまざまなメリットがあります。
詳しくは下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
顧客体験価値とは?向上させる方法や事例も


オーナー様との関係性がリードナーチャリングの助けに
「快く生活を見せてくれるオーナー様はいるのだろうか...」という疑問はもっともです。
やはり信頼関係がないと難しいと思います。

家を建てて終わりというお付き合いではなく、アフターサービスがしっかりしていてずっと良い関係を続けていることが前提となります。

どの会社にも、協力してくださるオーナー様はいることでしょう。

協力者が多くて困ることはないので、「オーナー付きモデルハウス」を募集するとき、「オーナー様宅見学会」の説明までして、あわせて承諾いただくのも良いと思います。

自分も子育て中だからと、小さなお子様連れのお客さまを歓迎してくださるオーナー様もいますし、お菓子や料理を用意してもてなしてくださるオーナー様もいます。
オーナー様の数だけ、家と暮らしを見ることができるので、お客様もご自分の生活を想像しやすいのでしょうね。

それが、成約につながっているのだと思います。

住宅会社のマーケティング手法については下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
住宅会社が考えるべきマーケティング戦略とは?

【まとめ】リードナーチャリングの事例を参考に導入して成約アップを目指そう

リードナーチャリングとは、見込み顧客(リード)に対して段階的にアプローチし、興味や購買意欲を高めて成約につなげるマーケティング手法のこと。
BtoBでは「リード獲得」「育成」「選別」の3段階で構成され、顧客の検討状況に応じて適切なアプローチを行うことで、営業効率の向上や成約率アップが期待されます。

現代では購買行動が情報主導型に変化し、検討期間も長期化。
質の高いリードを見極め、顧客が必要とするタイミングでアプローチする仕組みが重要です。

具体的には、顧客データの一元管理、カスタマージャーニーの設計、明確なKPIの設定、施策の実行と改善が必要です。

住宅会社であるジョンソンホームズでは「構造見学会」や「オーナー様宅見学会」を通じ、顧客の信頼獲得と購買意欲アップを実現しています。


経営のヒントを知りたいという方は、ぜひ一度ジョンソンパートナーズへご相談ください。
ジョンソンパートナーズでは、自社直営店で培ったノウハウを基に、全国のフランチャイズ加盟店様へ営業育成に関するアドバイスも行なっております。
私たちは、住宅フランチャイズサービスを通して全国の工務店様の経営を支援いたします。

この記事を書いた人

小松 壮幹

小松 壮幹

株式会社ジョンソンホームズ フランチャイズ事業部 加盟開発チーム

輸入住宅を中心に業界30年のスキルを持つ。「住宅業界」で働く素晴らしさをたくさんの人に伝えていくことがミッション。また、家づくりのプロセスを「システム化」「エンタメ化」することに情熱を注いでいる。