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組織の高齢化への対策は?会社が高齢化するリスク、住宅業界の課題も

組織の高齢化への対策は?会社が高齢化するリスク、住宅業界の課題も

昨今、日本では業界を問わずさまざまな企業で問題視されている「高齢化」。


企業の高齢化が進行していくと、業務の属人化や人材不足など、多くのデメリットが生じてきます。



そこで今回は、企業の高齢化問題と解決策についてお話しします。


特に高齢化のスピードが早いとされている建設・住宅業界についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。


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日本の人口減少と企業の高齢化について


まずは、日本の人口について現状を解説します。



国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、日本の人口は2010年代を境に減少に転じました。


64歳以下の人口で見ると、1990年代から減少が始まっています。



2055年には総人口1億人の大台を割り、65歳以上の国民の割合が40%弱まで上昇していくと予想されています。


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出典:国立社会保障・人口問題研究所より





一方で、総務省のデータによると、日本の労働人口に対する高齢者の割合は2010年から増え続け、2020年には13.6%と過去最高数値を記録しています。



このように、日本では企業の高齢化が進んでいるのが現状です。


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出典:総務省統計局より



ジョンソンホームズの属する建設・住宅業界について考えると、住宅を建てる平均年齢は30代といわれているので、顧客ボリュームが減っていくのは確実です。



ただ、人口減少とともに住宅業界の従事者や企業数も同じく減少しているため、そこまで問題にはならないのではないかと個人的には考えています。


しかし、会社組織の高齢化への対応、リフレッシュを積極的に行って行かないと、業界の淘汰される側に回ることになるでしょう。



会社組織が高齢化していくリスクについて、次で詳しくご紹介します。


企業の高齢化による課題・リスクは?建設・住宅業界の例も


企業の高齢化が進むと、以下のような課題やリスクが生じてきます。




  • 人材不足

  • 業務の属人化

  • 企業成長の遅れ




それぞれ詳しく解説していきましょう。




人材不足


従業員の中に高齢者が多いと、定年退職によって一気に人材が不足してしまうリスクが考えられます。


中には、健康上の理由で突然退職してしまうケースもあるでしょう。


高齢者だからといって必ずしも体を弱めてしまう、若いからといって必ずしも健康というわけではありませんが、若い人よりも健康を理由に離職する割合が高いのは明らかです。



突然の退職にも対応できるよう、離職率が比較的低い若手の社員を継続的に採用することが重要になります。




業務の属人化


属人化とは、特定の従業員のみが担当している業務の詳細内容や進め方が、他の人に共有されておらず、当人以外が担当できない状態のこと。


担当者が退職したり休職したりすると業務が滞り、最悪の場合は大切なデータや顧客との関係を失ってしまうこともあります。



高齢社員が多い企業では、この属人化が起こりがちです。


属人化を解消するためには、日頃から複数の従業員に業務内容や細かい手順などを共有しておくことが重要なため、若手の人材確保・育成が欠かせないのです。




企業成長の遅れ


年齢を重ねると、どうしても頭の回転スピードが衰えてしまいます。


経験で補えることもありますが、体を動かしたり体力が必要だったりする仕事の場合、単純に仕事効率が下がってしまうこともあるでしょう。



さらに、高齢になるとITや最新の技術への対応が遅くなるといわれています。


実際、新しいパソコンソフトを導入しただけで拒否反応を示すベテラン社員も少なくないでしょう。



また、ベテラン社員は従来のやり方を重要視する人も多く、新しいやり方や斬新な発想に苦手意識を持つ傾向にあります。



仕事効率の低下やテクノロジー・新しいやり方への拒否反応は、企業の成長を遅らせてしまう可能性があります。


経験が豊富なベテラン社員も大切ですが、柔軟性の高い若手社員も企業の成長には欠かせません。




建設・住宅業界の高齢化が深刻化。課題・リスクは?


数ある業界の中でも、企業の高齢化がより速いペースで進んでいるのが建設・住宅業界です。



建設業の高齢化は2010年代から2020年代で急激に上昇しました。


全産業で4番目に高齢化が進んでいて、29歳以下の若手も10%を切り、深刻な若手の人材不足に陥っています。



戸建ての住宅会社は建設業全体と比べると若い人材が多いですが、他の業界と比べるとやはり若手が少ないイメージが強いです。



すると、一戸建てを検討している顧客層の中心である30代と住宅会社の従業員の年齢に差が出てきます。


年齢が違うと価値観が合わず、住宅会社側からの提案にお客様が共感できなかったり、今の若者の考え方やライフスタイルを理解するのに時間がかかったりするケースも珍しくありません。


結果的に商談の難易度が上がり、受注減少につながってしまうこともあるでしょう。



こういった状況になる前に若い人材を確保して、企業のリフレッシュ・若返りを図っていくことが重要です。



建設業での若年層離れについては「建設業で若年層離れが深刻な理由|若者離れへの対策も」でも解説していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。


組織の高齢化対策!若い人材の採用・育成方法


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企業の高齢化による課題やリスクを解消するためには、若手の採用と育成が欠かせません。


しかし、人口減少・高齢化の現在、若い人材を確保するのは至難の業です。



今はまだ高齢化が顕著ではない企業でも、早急に若い人材の採用に着手していかないと年々企業の高齢化は進行しさらに採用難易度は上がっていくでしょう。



ここでは若い人材の採用・育成方法についてお伝えします。




  • 社長、経営者の業務を若手社員に渡していく

  • 新しい事業を取り入れる

  • 新卒採用に取り組む

  • 若手の離職率を下げる施策に取り組む




社長、経営者の業務を若手社員に渡していく


若手社員を採用するためには、若くても裁量を持って働ける環境作りが大切です。


そのためには、社長や経営者の業務を若手社員に渡していく必要があります。



社長がいつまでも現場に立っていて、営業マネジメントや設計プランニングや工務の責任者として指揮を執っていると、社内の人材が育ちません


すると業務は社長やベテラン社員に依存してしまい、会社規模の拡大は難しいでしょう。



また、責任者のポストが空かないのでスタッフがなかなか昇進できず、何年経っても変わらない立場や待遇、業務に不満を抱き始めるケースも。


結果として、モチベーション低下や離職につながってしまいます。



若い人材を採用する土台を作るためにも会社の規模拡大は重要です。


そのためにも、今やっている現場の仕事を少しずつ任せていきましょう。


そうすることで社内に責任者を作り、会社規模を拡大して新たな人材を採用していけるポストを確保していくことができます。



若手を採用できる会社規模への成長、そして若手がどんどん挑戦できる環境作りこそが、若手採用の成功への近道といえるでしょう。




新しい事業を取り入れる


若手社員を採用するためには、思い切って新しい事業を取り入れるのも一つの手です。



多くの業界で言えることかと思いますが、技術力や知識、長年の経験と営業力によって受注につながることは珍しくありません。


そのため、ベテランスタッフのやり方を新卒・若手スタッフに教えても、同じような能力は一朝一夕では身に付かないでしょう。


新しいツールややり方を取り入れようとしても、社内の暗黙のルールやベテラン社員の目が気になってなかなか成果を出しにくいこともあると思います。



そこで、例えば住宅業界なら「思い切って社内に新たな住宅ブランドを立ち上げる」などして営業組織を分割しましょう。


やり方が違う商品を、組織を分けて導入することで、属人的な手法や社内の暗黙ルールをある程度無視して事業を行うことが可能です。


特に営業組織はフランチャイズサービスなどを活用すると分割しやすいのでおすすめですよ。



さらに、新規に別事業を立ち上げることで責任者のポストも増え、会社の規模拡大や若手の成長も期待できます。




新卒採用に取り組む


これまで中途採用しか行っていなかった企業の場合、新卒採用に取り組むことで従業員の高齢化を解消できることもあります。


日本では新卒一括採用制度が一般化しているので、大手企業でなくても若手の人材を新卒で確保することが容易です。



さらに新卒の社員は、他の企業の「当たり前」や風習に染まっていないため、自社のビジョンに共感した将来の幹部候補として採用できます。



また、新卒採用をし始めると今までの属人的な仕事や暗黙のルールでは通用しないことが多くなるため、会社の仕組化も促進されていくでしょう。




若手の離職率を下げる施策に取り組む


せっかく若手社員を採用できても、会社に馴染めずすぐに離職してしまっては意味がありません。


採用コストが無駄になるだけでなく、「離職率が高い会社」としてイメージダウンにもつながります。


若手社員を採用できたら、離職率を下げる施策にも取り組みましょう



ジョンソンホームズでは、「月一面談」といって各従業員の直属の上司が、月に一度面談を実施し、若手社員のフォローを行っています。


上司と話せる環境を半強制的に設けることで、ミッションの再確認ややりがい・モチベーションの確認、今抱えている課題や悩みの解消につながります。



詳しいやり方は「離職率を下げる方法は?定着率を向上させる取り組み「月一面談」」で解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。


組織の高齢化はリスクが多い!早めに対策しよう


日本企業の多くが抱えている高齢化問題。


企業の高齢化は、人材不足業務の属人化企業成長の遅れなどのリスクを生み出します。



特に建設・住宅業界の高齢化は顕著で、全産業の中でもより深刻な若手の人材不足に陥っています。


住宅会社の場合、自社の営業スタッフとお客様の年齢が離れると価値観やライフスタイルの理解が出来なくなったり、こちらの提案に共感されにくくなってしまいます。



日本の人口減少と高齢化は私たちの力で止めることはできませんから、自社がその波に飲み込まれて淘汰される側にならないよう、対策を講じていく必要があります。



住宅会社に限らず、高齢化を解消するためには若い人材の採用が大切です。


社長や経営者の業務を若手社員に渡していったり新卒採用に取り組んだり、新しい事業を取り入れたりして、積極的に若手人材の確保・育成に取り組みましょう


採用後は、若手の離職率を下げる施策に取り組むことも重要ですよ。



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この記事を書いた人

川田 新平

川田 新平

株式会社ジョンソンホームズ 常務取締役
ヤマチユナイテッドグループ 常務取締役

企業ビジョンの明文化、共有・浸透を図ると同時に、社員の主体性を引き出して活かす組織風土を構築。自社を新たな成長軌道に乗せると共に、「グレートカンパニー」へと導く。