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高くても売れる高価格戦略!ブランディング成功例に学ぶ競争戦略

高くても売れる高価格戦略!ブランディング成功例に学ぶ競争戦略

住宅会社経営者に共通する悩みといえば、他社との価格競争になって値引きを迫られることではないでしょうか。
しかし、中には同じように価格競争の激しい業界にあっても値引きをせずに高くても売れている会社もあります。


高くても売れるというのはブランディングに成功しているということです。


今回は、実際に、ブランディングに成功している、とあるカメラ販売店を例にして考えていきましょう。


その高価格戦略によるブランディング成功例を探ってみると、競争戦略を考える上でも役立つヒントが得られそうです。



信頼性の高いブランド力があれば、高くても売れる成功例


栃木県のカメラ販売店「サトーカメラ」。
ビック、ヨドバシなどの大手量販店がひしめくカメラ店業界で、サトーカメラは栃木県においてはダントツNO.1の売上を誇っています。


このサトーカメラですが、基本的に値引き販売をしていません。
つまり他店より高く、客もそれをわかっているにもかかわらずカメラ製品を買うのです。


なぜ高いのに買うのか?と聞かれたある客は、「他の店よりも、サトーカメラの客になるほうが楽しいから」と答えたそうです。


同じものを他店よりも高く売れるというのは、サトーカメラはブランドになっているということです。



「高価格戦略」は購入後徹底サポートによる信頼が成功の秘訣


ではなぜ、スタイリッシュなブランドロゴもなく派手な宣伝広告も打たないローカル店が、大型チェーン店よりも強いブランドを作れたのでしょう?


それは、サトーカメラの「徹底的な接客」にあります。


サトーカメラの接客は、
・客が求める限りいくらでも商品説明
・店内プリント機の使い方をサポート
・撮影を楽しめるイベントを開催する


といった具合に、カメラを売ることではなく、カメラを買った客が写真を撮って「楽しむ」ことに徹底的な重点を置き接客をします。
そうしたコミュニケーションの高い接客を繰り返した結果が、「この店の客になるほうが楽しい」という信頼の獲得であり、その結果、他店よりも高く売れているのです。



このサトーカメラと本質的に同じ種類のブランディング戦略成功例を、東京都町田市の「でんかのヤマグチ」にも見ることができます。
同店では家電製品を買った客に対して、家への配達・設置・配線の代行をするのは当たり前、さらにはリモコン操作がわからない高齢者のために毎週自宅に出向いて録画操作を代行するようなことまでしています。


その結果が、ものによっては量販店の2倍の値段で売れるという高値販売・高利益率の実績です。


「写真を楽しんでもらうためにカメラを売る。だから楽しめるまでサポートする」という、サトーカメラ。
「生活に役立ててもらうために家電を売る。だから役立つところまでサポートする」という、でんかのヤマグチ。


本質的に同じ競争戦略を取っていることがわかります。



サトーカメラが、高くても売れるようになったきっかけ


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サトーカメラの徹底的な接客をするようになったきっかけはこんな出来事でした。


『ある日、来店された年配のお客様から、写真を大きく引き伸ばして豪華なパネルを作ってくれという依頼を数十万円分も大量受注したそうです。
ところがその写真をプロの目で見てもピンボケだし構図もまずいしどう考えても良い写真には見えません。
「なぜこの写真に大金を払うのだろう?」と疑問に思ってよくよく見たら、写っているのはそのお客様と美智子皇后様の記念写真だったのです。』


この出来事を見て、サトーカメラ専務は考えたそうです。


「人は、良い写真ではなく、思い出を楽しむのだ。写真のプロの目からみた善し悪しではなく、普通の人が写真を楽しむことをサポートすれば、新しい客層を開拓できるのではないか」。


この考えのもとで徹底的な接客をした結果が栃木県ダントツNo.1の実績です。


お客様とコミュニケーションを重ねることによって、ニーズを掘り出すことができ、そのニーズをサポートできた店は、お客様にとって「私のための店」になるということがわかります。



モノを売るのではなく「生活を支える」考え方に得られる共感


サトーカメラにしても、でんかのヤマグチにしても、モノを売ることではなく、売った先のことに焦点を当てています。


同じ考え方は住宅についても応用できるのではないでしょうか。
お客様に家を引き渡した後、入居してから始まる「暮らし」が幸せであるようにと、そのことを徹底的に考えることが大切です。
そのために必要なアフターサービス、ライフスタイルを楽しむアイテム、地域のつながりを楽しめるイベントなどを取りそろえて親身にお客様の生活を支える姿勢を貫けば、お客様にとっては「私のための住宅会社」になれるのではないでしょうか。



高価格戦略によるブランディングを成功させるには信頼度がカギ!


ブランディングは大企業がやること、と思いがちですが、ブランドの本質は顧客からの信頼の獲得です。
信頼の獲得は企業規模が大きかろうが小さかろうが欠かせません。


高価格戦略によるブランディングが成功すれば値引きをせずに済み、値引きをしないから利益が出て、利益が出るから無理をせずに済みます。
無理をせずに済むから品質がよくなり、従業員もお客様のためを考えて生き生き仕事ができる。


徹底的な接客によるお客さまの満足度が上がるだけじゃなく、そんな好循環を実現することができるのです。




ジョンソンパートナーズでは「売れる仕組み」に関するコラムもさまざま書いています。是非ご参考ください!



この記事を書いた人

金子 祐介

金子 祐介

株式会社ジョンソンホームズ 戦略室

輸入住宅の営業マン、チームリーダー、新規事業の立ち上げを経て、2014年よりフランチャイズ事業部へ。営業やマーケティング支援に留まらず、社内風土改革や人材育成など、あらゆる問題の解決を支援。