経営コラム

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マルチブランド戦略とは?実践例から〜人が輝く組織へ〜

マルチブランド戦略とは?実践例から〜人が輝く組織へ〜

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ジョンソンホームズの川田です。



当社の新築部門は5つのブランドで活動しています。



テイストもコンセプトも明確に分けたブランドの"らしさ"を体現するのは、それぞれのブランドチームのメンバー一人ひとりです。



今回はマルチブランド戦略について、当社の実践からお話ししていきます。



複数のブランドをもつ理由とは?なぜマルチブランド戦略なのか


ヨーロッパ輸入住宅のインターデコハウス、自然素材の家ナチュリエ、コンパクト住宅COZY、また、モダンスタイル住宅、ガレージ付き住宅。



展開するこれらのブランドは、お客さまを感性(趣味嗜好)や理想とするライフスタイル別で細分化し、顧客視点ベースで発想したものです。



それぞれ明確なコンセプト、独自の世界観をもたせた住宅の提案を通して、お客さまに「自分らしい幸せな暮らしを提供する」ことに全社で取り組んできています。



さて、そもそもなぜマルチブランド戦略なのかについてです。



私が会社の指揮を任された2001年当時、創業ブランドである北米輸入住宅の年間受注棟数は20棟台。低迷期で規模縮小により社員8人の組織でした。



こうした状況からインターデコハウスをスタートして100棟体制になり、100棟のあとは、その先を目指す意思がありました。


そのため、顧客それぞれの価値観・多様化したニーズに応えながら成長を目指していくという側面はありましたが、最初からブランド展開を狙ったわけではないのです。



当社では何をやるにせよ、社員みんなに楽しく働いてほしいということがあります。



楽しいと思えるためには主体性が大事で、その主体性は、当事者となって自ら物事を考え決めて動く機会が多いほど発揮されるものだと思っています。



社員の人数が増えていくと個性の数も増えていくわけです。



その人の経験・得意分野を含めた個性や能力を生かすこと、仕事を楽しんでもらうことを実現しようと考えると、ブランドが一つ二つあるだけでは賄えないだろう。



その想いからいろいろなブランドができていったのです。



マルチブランド戦略でブランドと社員の個性がマッチすると...


各ブランドは、それぞれを一つの事業体として運営しています。



事業計画から社員で考え、ブランドをどう育てていくのか、ブランドの中にどんな商品をつくっていくのかといったことも、すべて自分たちで考えます。



そうやってどっぷりと浸かっていると、彼らの中に、そのブランドへの情熱がどんどんこもっていくのです。



結果は社員の活躍となって現れています。



自分が担当するブランドのスタイルが好きで、同じような趣味嗜好のお客さまと深くつながり、見ていて楽しそうな感じが半端ない社員や、"自分=商品"といえる社員もいます。


また、規格住宅のCOZYは、コンセプトがわかりやすく仕様も決まっているため、お客さまに伝えるメッセージや作業がシンプル。


営業担当が自分のキャラクターを生かして売りやすいブランドです。



いわゆる"売れない営業マン"をCOZYに異動させてみると爆発的に売るようになったり、入社後の早い段階から成績を上げる新人がいたり。



熱を込めた仕事で、お客さまが喜んでくれる。感謝される。


その体験がまた彼らのモチベーションになる。


輝く社員が続出しています。



特にCOZYを立ち上げたことで、収益性も劇的に変わりました。



利益率を含めて注文住宅部門の改善点が見えてきたり、数字全般の管理体制を見直すことができたり、プラスに作用することが多々ありました。



私自身もそれまで気づかなかった部分にたくさん気づくことができました。



マルチブランド戦略とは=人と組織を強くする手法


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社員にどう働いてほしいか。



ここを起点に、複数のブランド展開で事業活動に取り組んできていることが、当社が成長できている大きな要因だと思っています。



いろいろな人が活躍することで会社は活性する。



マルチブランド戦略は、社員の主体性や情熱を生み、人と組織を強くする手法ともいえると考えます。



また、主体的に行動する人と組織であることは、会社が継続的に成長していくためにも不可欠な要素だとも実感しています。



時代の変化に対応するために一歩踏み出そうとするとき。


たとえば、各顧客ニーズに応える商品ときめ細かなサービスやフォロー体制で、もっと足元の地域の深掘りをしていくのか。


あるいは他エリア展開なのか。



自社がどんな住宅会社を目指すのか、何を大切にしてどうなりたいのかによって、行き先や採るべき戦略が見えてくるように感じます。



顧客視点で展開!マルチブランド戦略から見えること


当社では、顧客視点とオリジナリティをもった5ブランド展開で、札幌エリアにおいて年間300棟規模で活動できるまでになりました。



社員が活躍しやすい、また、本気になってお客さまに提案したいと思えるブランド・商品をもつことは、とても重要なポイントであると実感しています。



社員の活躍というところを主軸に置いた当社のマルチブランド戦略についてお話ししてきましたが、皆さんの会社で次の一歩を踏み出すことや、組織を元気にしたいなどと考える際に参考になれば幸いです。



また、継続した会社の成長のための考え方など経営ノウハウに関するセミナーを定期的に開催しています。


会社の成長に不安を感じている方、マルチブランド戦略以外でも経営手法に興味がある方は、ぜひ参加してみてください。



この記事を書いた人

川田 新平

川田 新平

株式会社ジョンソンホームズ 常務取締役
ヤマチユナイテッドグループ 常務取締役

企業ビジョンの明文化、共有・浸透を図ると同時に、社員の主体性を引き出して活かす組織風土を構築。自社を新たな成長軌道に乗せると共に、「グレートカンパニー」へと導く。