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ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)とは?活用事例も

ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)とは?活用事例も

こんにちは、ジョンソンホームズ川田です。



「ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。


ポジティブデビアンスは課題解決のアプローチの一つで、営業においてぜひ導入したい考え方です。



そこで今回は、ポジティブデビアンスで課題解決を目指す方法について解説します。


私の育成・指導の概念が変わった「ポジティブデビアンス」との出会いと、実践方法についてお話していきますので、ぜひご覧ください。


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「ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)」とは


同じ悪条件下にもかかわらず、成果を出している存在を「ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)」と呼びます。


つまりポジティブデビアンスとは、現場で抱えている課題をクリアした、ほかとは違う行動を起こした成功者や成功方法に着目する課題解決の手法なのです。



2019年12月、受注不振が続いていたジョンソンホームズの現場に、私は深く関わり始めました。


新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、施策を打って「さあこれから!」というタイミング。


コロナ禍に入ると、組織に停滞ムードが漂い、一体感も薄れていました。



しかし、どう対処するのが正解なのか答えがわかりません。



そうしたなか、コロナ禍でもしっかりと成績を上げている営業マンの存在が浮き彫りになりました。


そこから、売れている人のやり方を、動画を用いて全体で共有・活用するということを試みたのです。



そのプロセスの途中で、一冊の本と出会いました。


『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス):学習する組織に進化する問題解決アプローチ』(リチャード・パスカル他 東洋経済新報社)という本です。



その本には、ポジティブデビアンスの存在を探し出すことを糸口に、問題解決をする手法が記されていました。


端的にいうと、自分たちの身近に存在する成功者(例)を発見し、うまくいっている理由を探り、そのうまくいっているやり方から学んで、みんなで良くしていこうとするものです。



問題解決の場面において、ロジカルなアプローチで原因を突き詰め、そこを改善しようとする従来の方法では、複雑化する問題の解決には辿り着けず、良い方向へも進まないといった内容でした。


「ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)」で課題解決を目指す方法・ポイント


では、具体的に「ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)」の考え方で課題解決を目指すには、どうすれば良いのでしょうか。



ポジティブデビアンスの考え方で課題解決を目指すには、次の2点が重要になります。




  1. 組織全体を巻き込む




  2. ポジティブデビアンスを見出して手法を浸透させる





組織内でポジティブデビアンスの手法を進めるには、まずは組織全体にポジティブデビアンスの考え方を知ってもらうことが大切です。


組織の中でポジティブデビアンスを見つけるには、ルールや思い込みを一度排除して、観察します。



なお、ポジティブデビアンスの手法は、各組織特有のものであるという特徴があります。


そのため、正確なデータを取得したり、細かく観察したりすることが必要です。



ポジティブデビアンスを見つけたら、その手法を組織全体で定着・浸透させます。



ポジティブデビアンスでの課題解決を行う場合、実行するだけではなく、どのような効果がもたらされるかも組織で測定して共有するようにしましょう。



なお、売れる営業マンのノウハウを組織内で浸透させるには、オンライン配信という方法もあります。


詳しくは下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。


売れる営業マンのノウハウを社内に浸透させる「動画コンテンツ化」


ポジティブデビアンスの考え方を使ったジョンソンパートナーズの事例


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直営店の営業マン、加盟店さんの営業マンが活動する、フランチャイズ(FC)本部である当社に当てはめてみると、ポジティブデビアンスの考え方を実践するための資源が豊富なことに気づきました。



そこで、FC本部の戦略に基づいて加盟店さんに指導を行う形から、営業成績が高いポジティブデビアンスを見つけて、その成功パターンをみんなが使える「型」として確立し、提供して、行動してもらう形へと変えました。



ジョンソンパートナーズでは、加盟店さんに向けたオンライン配信を行なっています。


そのなかで業績進捗の"実況中継"をしたり、受注ランキングの発表を行なったりしていると、ポジティブデビアンスが見えてきます。



また、すでに、その売れている営業マンたちの成功体験を収録・編集した動画を加盟店さんがいつでも視聴し、自身・自店に生かせる環境ができあがっています。



加盟店さんの営業マンは、誰もが先生にもなれて、生徒にもなれる。


そうした、みんなで作りあげる「参加型FC」というのは、どんどん複雑化する、正解なるものがすぐに古びる、この時代に合っているのではと考えます。




トップ(上司)が自分の考えたやり方に固執するのは"旧時代"?!


上司と部下の関係でいえば、上司は部下のできていないところに目を向けがち。


問題を解決しようとするとき、自分の考えたやり方を指導するというのが、おおよそ行われていることではないでしょうか。



しかし、上司の正解がすべてではないはずです。


そもそも営業マンはそれぞれ違った課題を抱えているので、上司の正解だけをもとにした指導が必ずしも解決につながるわけではないと思います。


トップ(上司)のやり方をやらせるばかりで、社員(部下)が見つけたやり方や考えたアイデアを否定するのは旧時代的です。



トップは自分の役割や認識を変えていくこと、そのために社員の話を定期的に聞くことが大事。


それが会社として良い結果に結びついていくことにつながるでしょう。



問題の原因を突き詰めるのではなく、すでに問題解決をしている人を探し出し、良い事例を集めて、みんなで共有してやってみる。



社員は密室で決められたことをやらされるのではなく、身近でうまくいっている仲間のやり方が落ちてくるので、より身近で受け入れやすいように見えます。


良い事例をもとに「ここを、こうできるともっと良いね」などと、寄り添うのが上司の仕事ではないでしょうか。



ポジティブデビアンスの考え方に出会って私自身、育成・指導の概念が変わりました。


さらにいうと、この複雑な時代のなかで、トップとして正解を出し続けなければいけないというプレッシャーから解放され、楽になりました。


「ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)」とは課題解決の手法


「ポジティブデビアンス(ポジティブな逸脱者)」とは、同じ悪条件下にもかかわらず、成果を出している成功者や成功方法に着目する、課題解決の手法のこと。



ポジティブデビアンスで課題解決を目指すには「組織全体を巻き込むこと」と「ポジティブデビアンスを見出して手法を浸透させる」ことが重要です。


ポジティブデビアンスを見つけたら、その手法を組織全体で定着・浸透させ、実行。


どのような効果がもたらされるかも組織で測定して、共有するようにしましょう。





経営のヒントを知りたいという方は、ぜひ一度ジョンソンパートナーズへご相談ください。


私たちジョンソンパートナーズは、直営店では2020年度札幌市内着工棟数No.1の実績と、全国63店舗のフランチャイズ加盟店様への支援ノウハウ・実例があります。


30名を超える専属のフランチャイズ人員と直営店スタッフが加盟店様を住宅営業の初回商談の指導から工務店経営まで幅広くサポートいたします。



住宅商品パッケージだけではなく、新規集客・営業指導、経営計画の設計など、幅広い課題を解決する際は、ぜひ一度ジョンソンパートナーズにご相談ください。




この記事を書いた人

川田 新平

川田 新平

株式会社ジョンソンホームズ 常務取締役
ヤマチユナイテッドグループ 常務取締役

企業ビジョンの明文化、共有・浸透を図ると同時に、社員の主体性を引き出して活かす組織風土を構築。自社を新たな成長軌道に乗せると共に、「グレートカンパニー」へと導く。