経営コラム

#組織

社員をどう見るかが能力発揮の鍵を握っていた!

社員をどう見るかが能力発揮の鍵を握っていた!

ジョンソンホームズの川田です。


当社では、事業計画の策定、業績達成のための課題の抽出・対策の検討等、社員主体で行っています。


以前は社員から意見をもらいつつも、検討事項の決定を含め私が一切を取り仕切っていました。言い換えれば、前に向かって道を切り開いている"自分が主役"というスタンスです。


自分が主役のままの「権限委譲」。当然...、失敗!


ブランドが増え、年間100棟に近づき、社員が増えるにつれ、うまく回らなくなっていく。
今まで通りにやっていてもダメかなと、行き詰まりを感じるようになりました。


そこで、新たにポジションを設けて人を配置し、権限委譲をすることにしたのです。
しかし、これがまたうまくいかない。そもそも自分が事業のことを一番よくわかっているので、ちょっとのことも不満に感じて「違うじゃん」と口出しをしてしまう。


理想と社員のレベルのギャップがもどかしく、結局は自分で考えてしまう。


権限の委譲が必要で重要だと思いながらも、社員を生かさず、考えを認めようとせず、相変わらず"自分が主役"。


これでは思うように人が育たないのは当たり前!...ということや、うまくいかない原因が私自身にあることに、あとになって気づくのです。


社員のファンになって活躍を信じる


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権限委譲の失敗、加えてリーマンショック後、初めて赤字を記録。


ゴタゴタからの立て直しのヒントを探ろうと、人の話を聞く機会を増やすなかで、様々な発見がありました。


「マネージャーの仕事は、頑張れって応援すること」。ある大手企業の社長から聞いたことが頭に残っていました。


今まで逆だった?!


社員の考えや気づきに対して「天才だね、すごいね、とことんやって」「今はよくなくても絶対いけるよね」などと言葉をかけ始めたところ、みるみる能力を発揮し始めたのです。


以前の能力の発揮を20%とすると、以後は200%。それほど変化が見られた社員もいました。
能力を200%発揮してくれる、いろいろな発想を持つ人が200人集まったとしたら...?!


考えやアイデアが発展して、きっとウチは無敵になるんじゃないか。じゃあ、これでいこうかと。



人はどういう状態なら、普段の能力以上の力を出せるのか。
それは上から「信頼されている」という実感を持てるかどうかに関わっているように思います。


そして、同僚同士ではなかなか難しいので、トップがその人のファンになって、活躍や可能性を信じてあげないといけないのかなと。


それがまた、社員のやる気を高めたり可能性を広げたりすることにつながっていくのだと思います。


戦略的な考えがあったわけではないのですが、その後の利益率が大きく伸びました。
私がしたことは前述のとおり、社員のファンになり褒める活動です。


これはめちゃめちゃやりました。今も継続していて、ウチでは主に業績検討会議をその活動の場としています。


情報・認識を共有したら、あとは信じて任せて褒める。
社員に対する見方を変え、どう見るかが、個々の成長に大きく影響することがわかりました。


"執着"はいらない。スターは社員であるべき


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経験からですが、トップ自身が自分の"執着"を手放すことができると、人や物事がより望む方向に動いていくのではないかと感じています。


私はずっと自分の考えが正しいと思い、社員はレベルが低いとも思っていました。
すべてにおいて、自分は社員より優れているんだという"とらわれ"を手放せずにいました。


とどのつまり、その"とらわれ"が社員の成長の機会を阻んでいたのです。
そして「幸せを増やす」という目指す方向に自分の執着が障害になっているなら、それを手放すことによって成し遂げられるのではないかということに気づいたのです。


誰もが、活躍したい、成長したいと願って会社に入ってきてくれます。
自分たちでやり方を考え取り組むほうが、仕事は楽しいにきまっています。私は考えないようにして、社員が輝き、成果をあげられるような環境をつくることが役割なのかなと。


スターは自分ではなく、社員であるべき。
つくづくそう感じます。社員みんなが「自分が主役」だと実感できる風土をつくれたことは良かったなあと思っています。


この記事を書いた人

川田 新平

川田 新平

株式会社ジョンソンホームズ 常務取締役
ヤマチユナイテッドグループ 常務取締役

企業ビジョンの明文化、共有・浸透を図ると同時に、社員の主体性を引き出して活かす組織風土を構築。自社を新たな成長軌道に乗せると共に、「グレートカンパニー」へと導く。